■親父の革靴
先週、亡くなった親父の遺品を整理していた。
カビ臭い下駄箱を整理していたとき、少ししか履いてないような革靴が出てきた。
この革靴には記憶がある。
小学生の頃、休日に親父がこの革靴を磨いていた。
俺はピカピカしているその革靴がなんとなくかっこよく見えて、無性に欲しくなった。
「それ履きたい!」
「いいよ」
小学生には大きい革靴。ぶかぶかなのにピカピカしているのでテンションが上がって家の周りを走り回った。
「これちょうだい!」
「お前が大人になったらな」
親父はこれを覚えていたらしい。だからそれ以来履いてないのだと母親から聞いた。
なんとなく嬉しかった。時代に合ってない色や形のこの革靴。
明日はこの革靴履いて仕事行こうかな。
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