あれから春がやって来て、夏になり、秋が過ぎ去って、冬に入るというのに、私はまた無職。
まああの後しばらく働いたのだが。
元に戻ってしまった。
数年前に一度か二度お会いしただけなのに、あれから毎年欠かさずに送ってくださる。
いつも達筆な文字に感心するばかりだったが、今年届いた暑中見舞いの言葉に、私は救われた。
「お体大切に」
それだけ。
だが、ちょうど一人で体調を崩していた自分には、この言葉が身に染みるほどありがたく感じられた。
振り返ってみると、この方の葉書には、必ず、相手の体を気遣う言葉が書かれてある。
月並みといえば月並みだけれども、自分の体を労わることが、どれだけ大切なことか。
恥ずかしながら、この歳になって初めて教えられたのであった。
ご飯が食べられる。
散歩ができる。
テレビが見られる。
そんなふうに考えていると、自分が無職であることを忘れてしまう。
さて、今日は天気が良い。
久しぶりに海の方へ行ってみるか。
無精髭を映した鏡の前にも立ってみよう。
どんな顔の男がいるか。
たぶん、あの頃よりは晴れやかな色も見えるだろう。
エイブラハム・リンカーンはいないだろうが。
まず、スマホをやめることにした。仕事の電話やメールはもう来ないし、妻や恋人はおろか、親しい友人さえいないのだから、誰に気兼ねする必要があろう。思えば、朝は天気予報を...
anond:20170212204042 あれから春がやって来て、夏になり、秋が過ぎ去って、冬に入るというのに、私はまた無職。 まああの後しばらく働いたのだが。 元に戻ってしまった。 ある人から...