Alpha Goと闘っている柯潔棋士が泣いている写真を見た時、不思議と安堵感があった。
囲碁は全くわからないし、彼の泣き顔はネットのニュースか何かで見ただけだったけれど、一つの時代が終わったのだと分かった。
人間の学習するという長所でさえ、コンピュータは獲得し、凌駕した。人間だけが高度な知性を持つ時代は終わった。
でもそれは悲しむことではない。ぼくらはもう、自分たちは高度な知性を持つ存在だ、なんて虚勢をはらなくていいんだ。
ぼくらは悪びれもせずに、傘忘れちゃった、とか言いながら、Siriに近くのコンビニを探してもらって、そうやって緩やかにシナプスを錆びつかせていく。
それはきっと眠りに落ちるかのように快適な旅の始まり。