30代も後半になってようやく人付き合いの基本を覚えた。
それは「嘘をつく」ということだ。
私はそれなりに頭が切れるので、人の事業が成功するか失敗するか話を聞いただけで判断がつく。
だから嬉々として失敗する起業話をする知人友人に、水を差すようなことを言ってしまっていた。
結果を見ると、私の指摘の通りに失敗し、私の見積もり通りの負債を抱えているのだが。
だから言ったのにと思うが、言った当時に感謝された試しはない。
もう、そういう忠告をするのは辞めた。
事実は時に人を傷つける。
その過酷な現実に立ち向かえない人には、耳障りのよいことだけを言って失敗するに任せることにした。
それで人間関係はうまく行く。
もちろん、そこで傷つかずに立ち上がれる人には、口も金も出すよい付き合いをする。
そう考えると、今まで随分余分な出費をしてきたものだ。