幾らかの感情すらからも離れるからこそ、救われるのではないだろうか。
「あなたは何のために救ったのですか」
自分を満たす為などと泥を吐く。
「我欲を綺麗に見せるのはやめたらどうですか。あなたは取繕いと同情誘いばかりです」
救う事で救われるなど、思うべきではなかった。
あなたを救うべきではなかったのかもしれない。
「手を差し伸べたわけじゃないのですよね。
あなたは僕が足掻いている様をみて、それを救う振りをして。
僕にあなたを映して悲しんだり喜んでいたりしただけです」
……自分は、酷い事したのだろうか。
希望を見せては奪うような事を。
「薄平い贖罪なんてしないで下さい。
あなたはこの期に及んでも、自分可愛さが抜けないだけなのですよ」
「……あなたが何様だとしても、救いようのない莫迦なんだとしても。
例えあなたの手が目を逸らす様な色に染まっていても尚
それでも、そうだとするならそれは救われたという事ではないのでしょうか。
あなたは救われようと思って手を握り、希望を持ったのではないのですか。