今年も彼女と花見に行った。
ここでは彼女のことをKと呼ぶことにする。
Kは桜が大好きだ。
愛猫の名前も「サクラ」だし、
お気に入りのストールやワンピースも桜色だ。
Kのいま住んでいる家のすぐ脇に、桜の木が一本だけ生えていて、
毎年その桜の木の下に座って花見をしている。
場所が場所ということもあって、他に花見をする人はいない。
二人だけの穴場スポットだ。
俺はコンビニで買ってきたカップ酒を飲むが、Kはゲコなので水だ。
Kと話す話題は毎年ほとんど一緒だが、とても穏やかな時間だ。
花見の日なのに、花束を持ってこなければいけないのは滑稽だと思う。
本当はキクの花がいいんだが、
Kはキクの花が嫌いなので、春の花を適当にみつくろって持ってきている。
Kとの花見はきまって4月2日だ。
5年前に、Kが今の家に引っ越した日が4月2日。
以来、ずっと続けている。
ただ、俺は今年の花見を、最後の花見にしようと思っている。
俺にも新しい彼女ができたし、
ずっとKを引きずっているのも、Kは嫌がると思うからだ。
だから、今年はいつもよりたっぷりと花見をして、
いつもより長い時間、手を合わせてきた。
またな、K。
Permalink | 記事への反応(0) | 13:05
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