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2014-12-26

「0.999999・・・ってさあ」

「0.999999・・・ってさあ」

数Aの教科書をじっと眺めていた彼が、振り向いて言った。

「ん、何」

「1 じゃねーだろ」 「1 だよ」 「なんで」

休み時間は残り5 分を切っている。次の授業はヤマケン英語だった。そろそろ単語テストの "仕込み" をはじめたい。

だってほら、教科書にそう書いてある」

僕は教科書をひったくって読み上げた。1 を3 で割ると、0.333・・・。それを3 倍すると、0.999・・・。でも、この0.999・・・は1 を3 で割って3 倍しただけだから、結局は最初と同じ、1 に戻る。キューキューキュー連呼する自分バカみたいに思えた。

「でもさあ」 「ん、何」

キューキューキューってことはさあ、どこまで行ってもキューが出てくるんだろ?それってキューから、イチとは違うじゃん」

彼もキューキューと鳴いた。休み時間は残り少ない。

「でも教科書にそう書いてある」 「違うと思うんだよ」

彼はこっちを向いて座り直した。本気だ。

「1 を3 で割ったら0.333・・・じゃなくて、3 分の1 だろ?0.333・・・のテンテンってなんか、数っていうよりルールじゃん。ここから先、ずーっと3 が並ぶぞって。3333」

彼はサンサンと鳴いた。

ほとんどおんなじじゃん」 「ちょびっとは違うだろ。お前が0.999・・・のテンテンのとこにずーっと9 を書き足していってもさ、ヨッシャー、ついに1 ができたぞ、ってならないじゃん。やっぱ1 じゃねーよ」

もやもやした。でも、それは間違ってるだろ!という理屈もすぐには出てこなかった。

「じゃあ、教科書は間違ってるってこと?」 「そうだよ!」

彼は、彼の理論教科書を打ち破った(あるいは、一見打ち破った)ことに興奮したようだった。キューキュールール、イチじゃない、と繰り返している。

「じゃあ、イチじゃない、としてもさ」 「何だよ?」 「0.999・・・は、もう、1 にします。ってルールも作ったら、やっぱ一緒になるってこと?」

ここでチャイムが鳴った。「あっ単語テストだ」 彼が言った。

"仕込み" に失敗した僕の点数は0点で、彼と一緒に追試を受けるハメになった。放課後、数Aのヒョロ川のところに二人で聞きに行ったが「そんなことは考えんでええ」と追い返された。

 
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