音楽の良さを判定する個人的な基準のひとつは、その音楽が過去のどこに繋がっているかだ。
現代の音楽に全く新しいものは無い。完全なオリジナルというのは存在し得ず、過去の何かに影響を受けたり、参照をし、混ぜ合わせることで、自分たちが描き出したい何かに近付ける。
その時に意図的・偶発的に繋がった過去の音楽、その音楽が作られた歴史、奏でられた地域、生み出した人間との間接的な交信が、現在の音楽を通じて行われる。
ミュージシャンは自分の心境を歌や演奏に込めながら、過去の亡霊と対話をするイタコで、作品は降霊術でもある。
上手に過去と繋がった音楽を聞いた時に、作り手と受け手は同時に時間を超越する。
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