何人か親戚が来てくれたのだが、その一人に70代のおばあちゃんがいた。少し遠い親戚で、俺もあまり会ったことがなかった。
「おばあちゃん、お金ないから、こんなもの喜ぶか分からないけれど」
と言って出してきたのが、カセットテープ。
「これ、アンパンマンの歌が入ってるんだよ。アンパンマン、好きかしら」
とおばあちゃん。しかし息子はポカーンとしている。カセットテープというものを見たことがないので仕方ないだろう。
しかしそもそも、お年玉がカセットテープというのは初めてだ。俺もリアクションが取れない。
「これ、どうやって録音したんですか?」
俺がそう聞くと、
「テレビでやってるのを録音したの」
とのこと。つまり昔ながらの方法で、テレビに向かってカセットデッキを向け、アニメのオープニングをテープに録音したのだ。
なるほど・・・・なるほど?いや、気持ちは嬉しい。わざわざ息子のためにテレビの時間を見計らい、録音してきてくれたのはありがたい。
お金も本当にないのだろう、もともとお年玉をもらおうとなど思ってなかったし、その行為は本当にありがたい。
ただ息子としては、アンパンマンのオープニングのテープをもらっても喜びはしないだろう。まずCDで持っているし、それでよく家で聴いているのだから、いまさらカセットテープをもらってもどうしようもない。しかもテレビの録音だし、音もそんなに良くないだろう。そもそも家にはカセットデッキがないので再生もできない。
俺は息子に、
「これはカセットって言って、CDの前にあったものなんだよ。初めて見たね、良かったね、わざわざおばあちゃんが録音してくれたんだよ」
と言って、息子にありがとうを言わせた。これが最適解だろうか。ただ俺の気持ちとしては「ごめんなさい、こういう時、どんな顔すればいいか分からないの」状態だった。何が正解だったのだろう。
「これはカセットって言って、CDの前にあったものなんだよ。初めて見たね、良かったね、わざわざおばあちゃんが録音してくれたんだよ」 と言って、息子にありがとうを言わせた。こ...
いやボケてるよそれ
かりにおばあさんが75歳だとしたら、45年前は1970年代で、カセットテープ・レコード真っ盛りの時代。 ウォークマンが初代が出たころか? 「テープに録音して、音楽を贈る」という行為...
俺はそのババアの気持ちわかるよ。カセットテープが好きなんだ。
ばあちゃんがよなべをしてカセットテープおくってくれたー