毎年、空気の乾燥するこの時期になると、「湿度」という指標について考えることがある。
その字面から、「湿度」は空気中の湿潤(乾燥)具合を表現する指標だと思われがちだが、本当はそうではない。
中学校で学んだ通り、「湿度」は"空気中に含まれる水蒸気量÷その気温での飽和水蒸気量×100"で計算され、気温が高いほど飽和水蒸気量は大きくなるわけだから、
同じ「湿度」であっても、今の時期のように気温が低ければ、空気中に含まれる水蒸気量は少ないことになる。
例えば、夏の「湿度50%」と、冬の「湿度50%」では、冬の方が空気中の水蒸気量は少ない(つまり、乾燥している)と言えば、わかりやすいだろうか。
つまり、空気が乾燥しているかどうかは「湿度」だけでは決まらないのだから、「湿度」という指標には、
広さを表す指標に「面積」でなく「周の長さ」を使うような、概ね正しいけどそうじゃない、っていうもどかしさを毎年感じるわけだ。
というか、測定値そのものでなく計算が必要な上に、空気中の湿潤具合とダイレクトにイコールにならない指標を「湿度」とシンプルな名前で呼ぶのがそもそもの間違いなのではないだろうか。
計算の意味を考えるなら、「加湿限界度」みたいな呼び名の方が相応しいだろう。
そして、天気予報を伝える場では代わりに、上の計算式に出てきた「空気中に含まれる水蒸気量」を「湿量」とでも呼んで使えばいいと思うがどうだろうか。
測定値そのものなので意味もわかりやすく、空気の湿潤具合とも直接結び付くし、中学校でも「湿度」の計算に苦しむこともないだろう。
もちろん、雲の発生を考える上には「湿度」の考え方が必要なので、「湿度」という指標が天気予報を行うためには便利な指標なのは理解するのだが、
だからといって、一般人に伝達する指標まで「湿度」でなくてはいけない、なんてこともないだろう。
∈まとめ∋