2020-01-26

午後来客なく、私邸で過ごす。

しかし、それでは国民は納得しかます

「うん。ボクが納得してるからいいんだ」

しかし……」

「きみ、名前は」

 眼の前で緊張している彼は、視線を下に落としたまま氏名を応えると、

だってよろしくね」

「はっ」と私はノート名前所属、そして時刻を書き記す。そして「じゃ、このへんでいいかな」と促す。

「……失礼します」引き下がった。

 

「かれ、何回目だっけ」

「二回目かと」

「そっか。若いっていいねぇ。偏差値バカってピュアだよね」

はい所属長の名前を思い出しながら、“TEL 下げ”と追記する。

「春だねぇ」

はい

「今年はできないって。どうするか。地元でやるかな」

「入れておきます

「うん」

いかほど」

 片手を上げて開いてみせるので、

「五百……」

「ちがうよぉ、四千五百ぅ」

「は」ペンを落としかけて、ちょっと焦る。

マルカンでね」

はい

 

「ところで、例の、そろそろチラホラと……」

「梅も咲いてるよねぇ」

「このままで、よろしいので」

「うん。彼も次期選挙で忙しいとこ、よく、よこしてくれたよね。おかげで、助かった」

「確かに

「呼ぶ、って言ったら、あれこれ騒がれちゃって、あれぇ、やっぱりちょっとあざとかったかな、て」

はい

「だから、こういうのがあれば、まあ、納得してもらえるかな、って。ちょっと、いまはやめといたほうがいいかもよ、って、さ」

はい

「次の冬には挨拶に行かなきゃね」

 私は11月のページ、既に決まっている当選祝勝会の直後に、その旨、記入する。ゴルフコーチの手配は7月のページに。

 

「じゃ、ひるごはんにするから

はい

「午後は無しね」

はい

「新作のプライムが来たんだ」

はい」と私はノートを閉じ、最敬礼する。

 

 * * *

 

 午後来客なく、私邸で過ごす。

 

(これ、フィクションから

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