2013-11-15

ドラクエで凹んだ

小学校とき先生に知能に障害がある子のうちに遊びに行かされた。

彼は脇目もふらずにドラクエ3をやっていて、正直、「こいつでもドラクエとかわかるんだなあ」と思った。

三十分ほど彼のプレイを見ていて、とても悲しい事に気が付いた。

彼がそのゲームでやっているのは、アリアハンの周りでスライムカラスを倒す、ただそれだけだった。パーティにただ一人の勇者Lvは50を越えていた。彼は永遠、素手でスライムを殺し続けた。

とても楽しそうだった。

先に進めてやろうと思い1コンに手を伸ばしたら凄い剣幕で怒鳴られた。なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた。

それを見て彼の母親が「ごめんなさいね、○○ちゃんはファミコン大好きのよ」と僕に謝った。

彼はドラクエ以外のソフトは持っていなかった。

僕はそれ以来、ゲームをやらなくなった。以前のようにゲームにのめり込めなくなってしまったのだ。コントローラーを握るとやるせなくなった。友達の家に行ってもみんながやるのを見ているだけだった。

その間、僕はゲームに興じる友達背中だけを見るように努めた。

本当にむなしかった。

その内に、僕はファミコンを憎むようにさえなった。今までの人生の中で、あんなに何かを憎んだことはない。

それは真夜中に僕を目覚めさせた。

ゲームなんかこの世からなくなってくれと本当に願った。

僕はソフトを彼に全部あげて、本体は捨ててしまおうと思ったが、兄に怒られそれすらできなかった。

一人暮らしをしている今でもゲームは嫌いだし、もちろん家にも置いていない。

時々、彼と、永遠に世界を救えなかったであろう彼の勇者の事を思い出すと、とても悲しくなる。

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