2009-01-07

そんな奴でも左手結婚指輪してる件。

今朝、都内に向かう電車の中で、茶パツを小汚く伸ばした小デブなおっさんが

一心不乱に携帯を見ていた。

たまににやついたり吹き出したり、突然左手で「よしっ」と拳を握りしめたり

株価でも見ていたのだろうか。

とにかく挙動が忙しい。

それだけなら、まだいいのだけど。

このおっさんは入り口のそばに立っている。

そして電車は混み合っている。

電車が揺れるたびに人と人がぶつかる。

入り口の近くにもたれているおっさんにも誰かがぶつかる。

そのたびに、おっさんはぶつかってきた人を睨むのだ。

これがヤンキーならわかるのだが、一応、スーツを着てるおっさんである。

紫のマフラーにチェックのバッグとか持って、

ちょっと「イケてるおっさん」を狙ってる感じが見え見えなおっさんである。

顔も体も、グレート義太夫古田新太を足したような感じだったけど。

少し老眼なのか、携帯を少し離さなければ見ることができないのか

手を伸ばして携帯を見ている分だけ、他の人よりスペースを保っている。

そして小デブ

落ち着いたとはいえ、まだまだ朝の通勤ラッシュ時間

つり革につかまっていようとも、誰にもぶつからずに電車に立つことは困難な時間

そこでおっさんはぶつかってきた人を睨みつける。

持っていたカバンをそのおっさんにぶつけてしまった、私のことを睨みつける。

思わず睨み返した。

おっさんはさらに睨んできた。

「醜いなぁ」と思った。

私は自分無駄に元気だった頃を思い出していた。

電車でドアの前に座り込み、駅で停車してもどけようともしないバカ高校高校生の頭を

降りるときにドジを装って持っていたスチールケース(重量10kg)の角にぶつけたことを。

近くに立っていたきれいな女の人にひたすら話しかけ、無視されても話しかけ続ける酔っぱらいの足を

これまた降りるときに気づかないふりをしてピンヒールで踏みつけたことを。

18きっぷで旅をしているとき、隣に座って「一緒に賛美歌を歌いませんか!」と話しかけてきた

お揃いのハングル文字のパーカーを着た若者たちを

「私もキリスト教(の大学卒業した)だが電車という密室で勧誘という行為をして良いと

主が述べたという話は聞いたことが無い」という、支離滅裂な理屈で追い払ったことを。

あの頃の私は若かった。

だがもう私は若くない。

あの頃の私ならどうしただろうか。

いや、今の私ならどうすべきだろうか。

降りるときにおっさんが着ているコートのフードにゴミを入れて行くか。

降りるときにおっさんの背中にぶつかるふりをして「私は心が狭いデブです」という張り紙をはるか。

やはり王道、降りるときにわざとらしく足を踏みつけるべきか。

おっさんがつけているイヤホンを外して一言「死ねば良いのに」と言うべきか。

「ぶつかりたくないならグリーン券買えばぁ?」と水銀燈の口調で言うべきか。

考えているうちに、おっさんは渋谷で足早に降りていった。

まるで逃げるような速さだと思った。

明日もあの電車におっさんはいるのだろうか。

乗り換えのためには、あの車両が都合がいいのだけど、

またあのジトッとした目で見られるのは嫌だな。

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