2024-03-16

ひねくれもの さくらあいにきた

公園さくら

ひねくれものがお前に会いにきたぞ

しばらくみないうちに

お前は伸ばした手に

落ちるまぎわの水みたいなつぼみをつけた

たくさんつけたな

さくら

お前はえらい

人々がお前の化粧を「もういいや」と見捨てた

ころから

いっぱい息をして

いっぱい光をすって

いっぱい水をのん

こうやってつぼみをたくさんつけた

さくら

お前は誰も殺さなかった

恨むこともしなかった

手を乱暴に触られても

手を人から切られても

黙ってお前は春を待ちつづけた

さくら

俺はお前がうらやましい

俺は生き方がへただ

知らぬ間に誰かをきずつけてしまっている

自分すらもきずつけてしまっている

呼吸すらこんなに一生懸命にならなければ

音を立てなければすることができない

さくら

ひねくれものの俺なんか嫌いだろう

だけど俺はお前のことがすきだ

好きだからこうやって春を前に

お前が化粧の準備をするのを

見にきてしまっている

さくら

お前はすてきだ

つぼみかわいい

生きるために立派になった根っこも

ここで空を眺めている姿もだ





さくら

よろこべもうすぐ春がくるぞ

そして人々がお前の化粧をわすれたころに

嫌になるぐらいあついあつい

夏がくるぞ

おひさまひかりとすきなだけ

触れ合うとき

ぼくはまた生きてお前と会おうじゃないか

それまでしばらくさよなら

  • ひもくくれ さらにあいにきたのね にものさらいにくれ あきたひくね らくににたくの あさひもきれいね

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