2024-01-29

福沢諭吉先生馬鹿は力でねじ伏せろと仰っている。

無学文盲、理非の理の字も知らず、身に覚えたる芸は飲食と寝ると起きるとのみ、

その無学のくせに欲は深く、目の前に人を欺きて巧みに政府の法を遁れ、国法の何ものたるを知らず、

己が職分の何ものたるを知らず、子をばよく生めどもその子を教うるの道を知らず、

いわゆる恥も法も知らざる馬鹿者にて、その子孫繁盛すれば一国の益はなさずして、かえって害をなす者なきにあらず。

かかる馬鹿者を取り扱うにはとても道理をもってすべからず、不本意ながら力をもって威し、一時の大害を鎮むるよりほかに方便あることなし。

かかる賊民を取り扱うには、釈迦孔子も名案なきは必定、ぜひとも苛刻の政を行なうことなるべし。

ゆえにいわく、人民もし暴政を避けんと欲せば、すみやかに学問に志しみずから才徳を高くして、政府と相対し同位同等の地位に登らざるべからず。

これすなわち余輩の勧むる学問の趣意なり。

学問のすすめ

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