初めて彼女ができて付き合った時のことをふと思い出した。あの時、女子とはこんなに弱いのかと思った。
自分は細身で筋肉がなく、いかにも弱そうな見た目だ。男同士で殴り合いのけんかをすれば9割は負ける。だがそんな自分でさえ女子とは弱い生き物だと思った。
力を込めて握れば壊れそうだ。自分が男を殴って殺せるとは思えないが、たぶん女を殴ればあっさり死んでしまう。体を抱きしめただけでそんな気がした。筋肉がまるでない。骨の周りに柔らかい脂肪がついているだけだった。
そりゃ殴り合いのけんかになれば勝つのは当然で、男が女に対して本気で手を上げてはならないのだとひどく衝撃を受けた。いや、もちろん女子を殴ってはダメなんてのは当然分かっていたつもりだったが、実際には自分は何もわかっていなかったと気が付いた。