録音技術は音楽を変えた。
音楽は夢と同じ、現れた側から蒸発してしまう瞬間的なものだった。儚さが与える神秘と貴重さは、それぞれが等しく持ち合わせていた。
機械が音を閉じ込めるようになって、音楽はホルマリン漬けのように、冒瀆的な残骸と化した。保存した音をいじくり回す事すら可能になった。人生を費やして腕を磨き表現を続ける事に疑問を与えただろう。
それでも、今なお世界中に音楽家は存在する。
機械による絵や文章の自動生成は、多くのアマチュアに絶望を与えているのかもしれない。限りある人生を費やして生み出したものも、機械なら5秒で出力できてしまうかもしれない。
その無力感にあって、なおも人の手で表現を続ける姿勢の意味が問われているのだと思う。
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