店の床をゲンゴロウが這っていたので取っ捕まえてAさんに見せたら、今時激レアだと驚いていた。
Aさんがいうには、この辺には田んぼが沢山あるけど、水棲昆虫の類いはほとんど見られないのだそう。
というのも、ここ二十年ばかりで田んぼが激減したことに加えて、残った田んぼにも虫除け剤が撒かれているからだという。ホウネンエビやカブトエビが田んぼに住み着くのを防ぐための薬剤だ。結果、田んぼに棲む生き物の生態系上位にいたゲンゴロウやタガメ、ミズカマキリはエサを失って生きられなくなった、という訳だ。
私なんかは田んぼに棲む生物の知識が小学校時代で止まっていて更新されていなかったから、そんなことになっているとは知らなかった。
Aさんは店内に変わった虫が飛び込んで来ると捕獲して家に持って帰るのだけど、ゲンゴロウはさすがにレア過ぎて一匹でも捕るのは惜しいといって、近くの田んぼにゲンゴロウを逃がしに行った。