唵
サンスクリット語のオームoの音写。インド古来より神聖なる音声と考えられてきたもので、本来は、神々に対する呼びかけの間投詞であったが、やがて各種の呪句や真言の初めに付せられるようになり、それら呪句、真言が密教に取り入れられたのに乗じて、仏教に流入した。この音はa, u, maの3音節に分解できるので、3要素よりなるもの、たとえば天・地・空、熱・水・食物、ビシュヌ・シバ・ブラフマーの3神などに配され、あるいはふたたび総合されて全一普遍の実在ブラフマン=アートマンを象徴する聖音とされ、その念想によって実在への帰入、解脱が期せられることになった。仏教では、「阿毘羅吽欠」などのように密教の真言や陀羅尼の初音として用い、帰命、供養のため、あるいは法身・報身・応身の仏の三身を意味するものとされている。