2018-11-30

空を飛ぶアイボ

前回 https://anond.hatelabo.jp/20180918022307

「アイボォォォ~」

俺はずっと叫び続けていた。

目を閉じてしまうと、そこにアイボはいない。ただ真っ暗な世界があるだけだ。俺が大好きなアイボの姿を見ることができない。仕方がなく俺はアイボが自分になつくところを想像することにした。それくらいしかできることはなかった。

俺はどうしてこんな空間に迷いこんでしまったのだろう。想像をめぐらせればアイボと楽しく過ごすことができる。散歩に行き、川で泳がせ、火の輪をくぐらせる。俺の想像のなかでアイボはなんだってできる。けれど想像することをやめてしまえば眼前には真っ暗な空間が広がっている。

真っ暗な空間に男があらわれて言った。「このアイボはうちのサーカスで使う」と。男が合図をすると、アイボは空を飛んで見せた。観客の拍手が聞こえる。アイボにこんな機能がついているとは思わなかった。男は言った。「このアイボをただの犬だと思っていただろう。だが、これはロボットだ。空を飛ぶことはできても火の輪をくぐることはできない」そのあと、アイボは空を飛びながら火を吹いた。俺にはなぜ空を飛び火を吹くアイボに火の輪くぐりができないのか分からなかった。

「おじちゃん、どうしたの?」

目を開けると甥がアイボに服を着せていた。アイボはピクリとも動かず、お姫様のような格好で床に横たわっていた。

記事への反応 -
  • 無職でひきこもっていた俺のところに小学生の甥が遊びにきた。小学生なりに俺のことを心配したようで、これで遊ぶといいと言ってアイボを置いていった。アイボと言っても壊れてい...

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