いわゆるちらし寿司の事なんだけど、しょうががめちゃくちゃ酸っぱい?辛い?からそれを食べるともう他の味がわからなくなるのよ。
だから、ばあちゃんは俺の分だけ桜でんぶを書けてくれてたの。もちろん、甘いものをガキが嫌いなわけないからおいしいおいしいといって食べるわけよ。
するとばあちゃんは俺の好物が桜でんぶだと勘違いして、自分がちょっとでもご飯を残すと桜でんぶを書けてくれたの。
24歳ぐらいのときかな。ばあちゃんはアルツハイマーになっちゃって、買える度に「でんぶあるよ」といってご飯にかけようとするのよ。
俺は最初は察してちょっとふりかけて食べて「ありがとうね。」と言ってたんだけど、ずっとそればっかやるもんだから、実家のご飯はばあちゃんがいない時に食べるようになった。
人様の家族の生き死にに口出すのも何だけど 曖昧になったときに浮かび上がってくるものが喜びや笑顔や労りであるのは 多分良い事なんだろうなと、思う