2018-06-15

anond:20180615001525

6月16日

 

小谷が言った。「お前、タイムリープしてるだろ?」

これが181回目の6月16日。どうやっても理科実験学校が爆発してしまって、俺だけが助かる。それ以来70年間引きこもった。タイムマシンを開発するために。

やり直すんだ。戻れ。それだけが信念だった。

 

小谷は続ける。「あのさ、俺も試したんだ。3日前に前兆があった。それに気づいた俺は5873回目の今日を繰り返している。お前、俺も死んだと思ってただろ? 残念。直前で逃げ出して、こうやって今日を繰り返してる」

「じゃあ、俺とお前の世界線は」

「異なる。俺が救おうとしている世界はお前が救おうとしてた世界ではないし、逆も然り。結局、自己満足なんだよ。だが」

小谷右手に持った分厚い古語辞典を振り上げる。

「お前に死んでもらえば全ては真実になる。世界は俺が操った世界線だけになる。邪魔なんだよ。偽物は要らない。お前に救われると迷惑なんだ。お前に救われた俺は今ここにいる俺ではないからな」

小谷は鈍器のようなもので俺を殺そうとしている。汗が頬を伝うのは暑さのせいだけではない。

記事への反応 -
  • いつもどおり学校に行った。古典の授業中に誰かのスマホが鳴った。小谷のだった。小谷のスマホが晒された。「働いたら負け」と書かれたスマホカバーだった。放課後、体育祭の学級...

    • 6月16日   小谷が言った。「お前、タイムリープしてるだろ?」 これが181回目の6月16日。どうやっても理科の実験で学校が爆発してしまって、俺だけが助かる。それ以来70年間引きこもっ...

    • 体育祭が来なければ、永遠に旗作りが続くぞ

    • 体育祭が来るまで、永遠に旗作りが続くぞ

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