居間に座って、母と何かを話していた。
私には兄が本物なのかそもそもなぜここにいるのかわからず、声をかけられなかった。けど頭のどこかで既にこの世にいない人だとは覚えていたので、どうしようもない気持ちと共に言葉が溢れてきた。
これは私の奢りのようなもので、あのとき家に駆けつけていれば兄が死ぬこともなかったのだという虚しい願望の表れだ。
必死に言葉を伝えると、兄はなんともいえない表情をしていた。今朝に見た夢だから朧げだ。ただ優しい顔をしていたのは間違いないと思う。
そんな感じで、私を慰めてくれた。ああ兄はもういなくならないんだとホッとした。何度も夢に出てきた兄ではあるが、何か口にしてくれたのは初めてだったから。
本当に、そうであってくれたらよかったのに。