その日も脳内の海で女は揺れていた。
女の相手があの軽薄そうな老人だと知った折には面食らっていた。
まるで概念が弄ばれているようだ。松明の火だけの薄明かりのさなか、老人は女を自在に操りつづけるがごとく…
ビューーーンっ!
大の字で自分の部屋のベッドに仰向いていた。
きらびやかな光たちが象る星々の海の下、彫りの深い男たちも彫りの浅い女たちも変わることなく営んでいる。
私が白雪に護られた宮に休んでいるといつのまにか彼は来ていた。
逃げても逃げても松明は私を追って来た。
私の部屋にあぶり巻かれ、またあぶり巻かれ、いつのまにか背をとられ2つの物を鷲掴まれていた。
そうやって僕はまるでー彼女の店に来ていた。犯してしまった罪の赦しを得るためのようにして。
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女はカーテンを開ける。森林のような街路樹たちの群れ。踵をかえす。なごり惜しげに揺れる髪ー伏し目がちの瞳、せみの鳴き声を意識することはなかった。