図書室というのは不良生徒の溜まり場で、よく同じ部活のKが顔を出していた。
掃除の時間、クラスに戻るよう嗜めると唇の前に人差し指を添える。見て見ぬフリをして仕事を続けた。本を期限以内に返却してくれない生徒が多過ぎたのだ。忠告しなくなった私に気を良くしたのか、不良生徒は図書室のベランダに居座るようになった。エアコンの室外機の影に体を縮こめて携帯を扱う。何をしているのかは知らないが追い出すのも可哀想に思えた。
どうせ頭の良くない彼らの将来なんて決まりきっている。いや、そういう事ではなくそこに居場所を見出した彼らにほんの僅か同情心が芽生えてしまった。何故教師の側ではなくそんな所を選ぶのか。不良生徒というのは全く考えが読めない。読めないなりに面白いと感じていた私がいる。彼らは成長して今頃何をしているだろうか。