人は悲しい時、泣く。
といっても、なにも考えず、涙を流して大声を上げて泣くわけではない
多くの人は、泣きながら、頭の片隅で別のことを考える。
そして行動を起こす。
俳句をたしなむ人であれば、自分の悲しみを五七五で表現しようとする。
悲しみをおぼえ、鶴を折る。
「水や食料が不足しています」という知らせを見て、
鶴を折る人がいる。水が欲しいと訴える被災者に向けて、
鶴を折る。水が、鶴に変わるのだ。
牛は水を乳に変える。
蛇は水を毒に変える。
人は水を鶴に変える。
蛇に「乳が欲しい」と水を与えても、できるのは毒である。
鶴を折る人に「水が欲しい」と訴えても、できるのは鶴である。
例えばあなたが地震や津波や台風で家を失ったとする。水も食料もない。
「水が欲しい、食料が欲しい」と訴えて、どうなるか。
千羽鶴が届くかも知れないのだ。