毎年恒例餅つきの日だ。
今年もこの日が来てしまった。
仕上がらないレポートを言い訳に欠席することもできたっていうのに、参加しなければ罪悪感を感じるような。
親戚が苦手だ。加えて、このめでたい行事には、親戚の友達もやってくる。
社交的な態度で、挨拶をすればいい。そのくらいのことはできる歳になった。
何もかも今さらだ。タイミングをつかみ損ねたからには、もう口を閉ざすしかない。
田舎の家の凍てつく寒さが、胸に沁みていくようだった。陽気な声の響く家で、遠く空想の旅に出る。
つきたての餅。具沢山の味噌汁。黄色のたくあん。
みんなで食べるお昼ご飯。現実は厳しい。
不自然にならないよう箸を進める。
味は感じなかった。
ツイートシェア