■こともなげに昔付き合ってた彼女がと男は言った
彼にとって昔の恋人の話をするのはごく普通のことなのだろう
恋人がいたことは誰にとっても当たり前で、それも昔の話なら変に隠すほどの話でもないと
けれど私は違った
私はろくに異性と付き合ったこともなく
かろうじてあるのは学生時代のごく短期間の苦々しい記憶だけ
彼に私はいったいどう見えているのか、喪女オーラが見えないのだろうか
どこかにもやもやしたものを感じながら、なんと言っていいのかよく分からない
単純な嫉妬とも違う
人として違うんだなあという感覚から来る言いようのない何か
動揺もせず適当な相槌を打ちながら、自分を少し遠くから眺めるような感じがした
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