「待ってー!兄ちゃん!」
「早くしろよー!」
帰宅途中の私を小学生の兄弟が追い抜いて行った。駆けていく兄弟を見て、ふと私は兄のことを思い出した。
二つ違いの兄は小さい頃から優秀で頭が良かった。しかしそれを鼻にかけるような事もせず、私の面倒をよく見てくれた。
小学生のある日、私の学年で校外写生があった。私は前日から楽しみ過ぎて中々眠れなかった。
翌朝は案の定寝坊した。何時もの登校よりも早く出なくてはいけなかったというのに!慌てて家を飛び出した。一心不乱に駆け出した。
私は弁当を忘れた事に気付かなかった。母に頼まれた兄は、5分後に私の弁当を掴んで分速150mで家を出た。分速80mで走る私は家を出て10分くらい経った頃、兄に追いつかれた。
「弁当忘れるなんてお前らしいな」「ありがと。ごめんねゆうちゃん」弁当を受け取り学校へ急いだ。
兄は優しい。大きな湖を逆に廻ってしまった時も兄は迎えに来てくれた。
兄は足が速い。
おう、増田さんとこの次男坊じゃねーか!大きくなったな! そうだ、りんご3つとみかん5つ買ってかねーか?兄ちゃんの方も好きだったろ!
ありがとう! 今僕のリュックには高さ24㎝、幅22cm、奥行き18cmの隙間しかないから そこに入るだけ貰おうかな!
通りがかりの劇団員「9504立方cm!」 (その後、逃走)
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