近づくにつれ、俺の方に寄ってきた。
そして、すれ違う瞬間、女は、やおら左腕を水平に上げた。
手の先は、俺の胸に当たった。
女も、手が俺に当たって、初めて俺の存在に気がついたのか、「すいません」と言って、俺の左側を抜けていった。
振り返ると、女の歩いていった先には連れと思われる男がいた。
状況から察するに、
女と男は、どこかの店かなんかを探して歩いていた。
男先行、女は少し後ろを歩いていた。
女は周りを見ながら歩いていた。前方不注意。
目的の店かなんかを見つけたので指さして、男に教えようとした。
その腕が、俺の胸に当たった。
こんなとこらしい。
手は軽く当たった程度なので、怪我もしていない。
でも、もし、立場が逆だったら、、、、。
歩行者天国のど真ん中で、水平に上げた俺の手が、女の胸に当たったら、、、。
厄介なトラブルに発展するだろう。