アレについてそろそろ10年目になるので、節目で。
宝くじが当たったのではないか、という噂が村中に広がる。
拡散したのはAという人物。
Aは私にコンプを持っていた。多分、虫の名前をひとつ余計に知っていたとかいう、下らない理由だ。
私はそんなことはうち忘れていた。
宝くじも、Aの誤認、ひょっとしたら悪意かもしれない。
村人の私を見る目付きは瞬時に変わった。しかし面と向かっては聞いてこない。そりゃ乞食みたいだからね。
私はそんなもん引きもしていない。
この事実が村人に了承されるまで数年かかった。
ところが、今度は誰からともなく、「噂が立つくらいなんだからいつか必ず当てるだろう」とメチャクチャなことを言い出した。自分等の勘違いを認めたくない人々がそれに飛び付いた。
で、先年、いつまでも宝くじを当てられない私に(そりゃそうだ、引く気もないんだもん)業を煮やして追い込みをかけた。包囲網(笑)とかいうやつな。
私は適当にハズレを引いてやって、もうおめえら面倒だから構わないでくれと願った。
村人は諦めてくれるかな。
多分、中にいる自分たちの過ちを認めたくない人がまたまたひねくれて、私に新しい宝くじでも引かせようとするかな。
おら、こんな村イヤだ、まじで。