彼女とのことを詳細に記すことは難しい。
今はそれだけにとどめておこう。
彼のことを記すのはもっともっと難しいだろう。
理解できない。僕自身の過去と同じ過ちを犯しているからこそ、殴り倒してやりたい気持ちはあるのだが、そもそも何故そういう行動に出るのか分からないことが多々ある。
といっても、伝聞の限りだけれど。
彼女が悩みを抱えていた原因ではあるけれど、皮肉なことに、その悩みが僕と彼女を結びつけたのだ。
少なくとも、悪く言わないようにはしていたつもり。
ただ、僕は彼と仲良くはできないだろうなぁ、とも思っていた。
それは今のような関係のせいと言うよりも、人格的な相性の問題だと思う。
実は、僕は彼の名前を知らない。
わざと聞かないようにしていた。
調べようと思ったら、どこまででも調べてしまえるから、絶対に僕には言わないようにと彼女にお願いしていた。
それでよかったのだと思う。知ってしまっていたら、僕は今頃どうなっていたか分からない、かもしれない。たぶん。
僕と何もかもそっくりな彼女。僕と何もかも正反対な彼。僕は彼の詳細を聞き、彼は僕の存在だけを知っている。
非対称だ。
あっちはけしたんだ