私は休日になるとオイシイ店を回っていた。どんどん店を開拓していった。
でも、そのうちオイシイモノを堪能するのが目的ではなく、オイシイ店の情報を集めるのが目的になっていった。何かを食べても本当に感動することはなく、他店との比較ばかり頭に浮かぶようになってしまった。私は批評家のようになっていた。そして、そのコレクターのような行為に意味を見出せなくなり、私はオイシイモノを探すのをやめた。
食べ物の味、そのものを楽しむのではなく、食べ物の情報を集めることになるのって多い。手段の目的化っていうのだろうか。
音楽、ゲーム、ファッション、恋愛、etc それ自身を楽しむことを忘れ、その周辺情報のコレクター、つまり情報を所有することが第一目的になってはいないか。そのモノ自身への感動を忘れてはいないか。
でも、それも一つの楽しみ方なのかもしれないけど。