2009-08-05

僕の大学受験浪人経験手記

なんとなく、気が向いたし、夏休みだし、暇だし、実家の荷物整理してて当時のノートなどが出てきたから、自分大学受験浪人時代の記憶増田に投下。

ノリで東工大だけ受けたら返り討ちにされたのが現役受験

塾や予備校にいった経験がなかったので、同級生の話を聞いて、家から通いやすく、授業料が免除になりやすいという代ゼミ代々木校)に行くことにした。試験を受けて、結局、75%免除になった。これが結構でかかった。

代ゼミでは、フルタイムで授業を受ける学生を「本科生」と呼ぶ。自分が入ったのは本科のTKコース。東工大向けコースな。

東工大の理由だけど、地球科学やりたかったけど、東大に対する食わず嫌いと、北海道大学京大は遠いっていう絶妙な混ぜ具合の結果。

授業の構成

基本は平日午前2コマ、午後2コマ。1コマ90分。

水曜の午後だけは1コマだったと思う。

そして土曜午前に2コマ。

日曜日は1ヶ月に1個くらいのペースで模試

本科生は代ゼミ主催する模試のうち、いくつかを無料で受けられる。

ちなみに3学期制だった。

どういう講義を受けてたかだけど、講義名まで覚えていないが、

があったと思う。物理生物は選択でどちらかを選ぶ。

後になってから知ったことだけど、難関校向けコースほど、講義間の教室移動が少なく、科目を担当する教師が人気講師になるという傾向がある。これが、講義の時にいい席が取れるかどうかにつながる。友人から聞いた話では、この椅子取りゲーム不毛さが他の予備校から揶揄されているそうだ。

自分は、普通に朝からずっとど真ん中一番前に座ってたし(9時講義開始で8時過ぎぐらいに来て予習していた)、人気講師講義を受けたいとか思っていなかったからあんまりそうした問題はなかった。

それでも、東工大コースで行われる人気講師講義のときは、東工大コースじゃない人にど真ん中一番前を取られたりしてて、なんともいえない気分になったことはある。8時に教室開くのに、8時前から待ってる奴がいるのよ!

教室の雰囲気

4月の最初のうちは、どの講義も教室が満杯だった。クラス担任の職員さんが最初の挨拶で、「まずゴールデンウィーク明け。そして夏休み明け。クラスの人数が減っていきます。悲しいことですがそれが事実です」という内容の話をしていたことを覚えている。(確か、担任から「今、東工大コースは120人」と聞いた気がする)

実際、文系科目を中心にどんどん人が減っていった。自分は何も考えず“コース料理”は全部おいしく頂いたわけだけども、ツウな代ゼミ生は、同じ英語でもコースで用意された英語ではなく、好きな講師英語を受講しにいくらしい。

なので、まあ夏休みも明けたら、コースの通常講義でも、人数の差が笑えるぐらいになっていた。

それからさすがに東工大コースだけあって、男10対女1ぐらいの比率だった。最終的にはフルタイム講義を受ける女の子は3人ぐらいになるんだわ、これが。

そういう感じなので、教室の雰囲気は講義次第、講師次第でまったく変わる。

それから男女比的に女は女で固まってた。みんな友達を作りに来てるわけじゃないので、休み時間世間話するぐらいの関係だったけど、ひょんなことから、女の子の一人と仲良くなったら、他の女の子とも仲良くなった。浪人時代は、ほとんど女の子とばかりしゃべってた。

「もう、死にたい

女の子と親しくなった話。ゴールデンウィーク前ぐらいだったと思う。隣にいた奴が「授業についていけない。おれ、もう、死にたい」とか言い出して泣いてしまったので、「俺もしょっちゅうそう思ってる」「まだ10ヶ月あるから頑張ろう」とか必死になだめてたら、後で、女の子が「大変だったね」と声をかけてきた。

それがきっかけでその子とよく話すようになったら、他の女の子ともよく話すようになった。

その「死にたい」って言ってた奴は2学期からは来なくなったので、まさかと思ったら東工大コースよりひとつ下のコースに変わっていた。やっぱり自分レベルにあったところにしたいということだった。それもありだと思った。

当時の1日の流れ

平日 
7時頃起床
8時過ぎ代ゼミに到着。予習か復習。講師に質問しにいくなど
9時~12時午前の講義
12時~13時お昼。天気がいいと明治神宮で食べてた
13時~16時午後の講義
17時頃帰宅
17時半~19時スポーツジム。水曜は15時過ぎに帰るのでプール
19時半夕食
21時~23時予習・復習
24時就寝
土曜 
7時頃起床
8時過ぎ代ゼミに到着。予習か復習
9時~12時午前の講義
午後デート

日曜は模試があれば、模試に行って終わったら模範解答で答えあわせと次の日の予習。ある意味、平日に近い。

模試がない日は、午前・午後使って一週間分の復習。デートとか、草野球もあったり、結構遊んでいる感じ。

こう、規則正しい生活を送れたのも母のおかげですね。

おいおい、デートかよ?

教室でも、ぱっと見た感じ何人かは彼氏彼女持ちだった。お昼休み携帯で甘い会話してたりとか。自分の付き合ってた彼女は、高校の同級生で向こうは現役で大学入ってて、最初はものすごく負い目というか、いろんなネガティブな感情があったけど、僕も向こうもそれぞれの日常で居場所を見つけて適応していった。向こうも「君がッ 大学受かるまで携帯電話を持たないッ!」って感じで、保守的義理堅い子でよかった。ちょいオタだけど。このままこの人と続いて結婚しました。これ、ノロケな。

夏期講習は別世界だった

1学期も終わりに近づき、「夏期講習どうするの?」なんて話をしてたけど、普通代ゼミ経験値の低い僕は「東工大」が冠につく授業を取った。そしたら別次元だった。まわりが……ほとんど……現役生……。現役生ばかりの教室に緊張感はない。真剣講義を受けてたら、講師から「君は本科生か」と言われて、教室で浮いてしまったこともあった。ちなみに、ツウの代ゼミ生は、夏期講習は人気講師オリジナル講義を受けるらしい。

志望校の変更

夏休みに父に「どうせなら東大ぐらい受けろよ」と煽られて、東大受けてみるかと思って、志望校東大理Iに変更。年の途中からコースを変えるとなると、結構お金がかかるようだったので、東工大コースのまま、2学期から夕方に行われている東大現代文・古文・数学英語を増やした。物理化学がないのはお金の問題と東工大コースの講義で充分だと思ったから。必然的に午後の時間がなくなったから、2学期からはジムには行けなくなった。そしたら入試の頃までに10kgほど太った。浪人で太る人、痩せる人いるけど、僕は激しく太るほうだったね。

で、この夕方の講義にものすごくかわいい女の子がいて、その子のことを東工大コースで絶賛したら「その子は後輩だわ」ってことで、あとで紹介してもらった。でも、馬が合わないオーラが出まくってた。そういうこともあるさ。

思い出の講師

代ゼミの話をして、講師の話をしないわけにはいかないだろう。

他の予備校のことを知らないから、比較してどうとはいえないけど、個性的な人が多かったと、社会人になっていくつかの研修セミナー経験した今でもいえる。

印象に残っている人について

 

センター地理先生

小太りのお兄さん。大学の非常勤では食っていけないことを漏らしていた。メルカトル図法世界地図に気候分布を色分けで塗ったものをノートに書いていて、それをその講師に見られて「地中海性気候のCsのsって何のことですか?」と聞かれたので「sommer trocken(ゾンマトロケン)、夏に乾燥」と返したらびっくりされた。あなたが講義で言ってたことですよ!このときに作ったノートは妹が継承した。

 

津守光太先生(国公立理系ライティング)

ビルドの英英辞書をもって講義を受けてたら、「君、それ一冊あれば、僕は要らないよ」といわれたので、それ以降、講義では机の上に出すのを控えた。「朝、講義前に来れば英作文の添削をする」と公言してたので、公言した以上添削しろよという感じで毎週添削してもらいにいった。

 

馬場純平先生センター英語

「僕の講義を録音して、繰り返し聞きながら、マネしなさい。最低50回」・・・マジで利く。これが周りで大ヒット。

 

東工大英語先生

東工大受けるお前らなんか、どうせ、英語捨ててるんだろ?」「サイボーグ雨宮」など、数々のゆるい話題を振りまき、講義時間癒しに変えた人。1コマぐらいこういうのがあっても良いと思う。

 

雨宮章雄先生(国公立理系数学IIB)

エロサイボーグ雨宮。本当に息を吐くようにエロトークをかます。気をつけてないと、エロトークだとわからず、「あれ、わかりませんでしたか?お子ちゃまですね」といわれる。「数学的一昨日法」「数学人生法」は傑作だった。

 

荻野暢也先生(国公立理系数学IIIC)

クラス担任の職員さんから「この人の講義には絶対に遅刻しないこと。居眠りしないこと」と注意されてたけど、最初はヤクザかと思ってびっくりした。実は、小心者のいい人。「意識の低い奴はいらねぇんだよ!」といってチョークを投げたことも。本科の最終講義は、自分大学生の時の話をするのが恒例らしい。ゲーム屋のバイトの話が面白かった。「第一志望に落ちたら第何志望でもいいから大学にいけ。2年も予備校にくるな。大学にいってから頑張れ」と。

 

亀田和久先生(国公立理系化学

土曜午前にサテライトで中継講義(教室に入りきらないため)。あまりの人気っぷりに、一度、「生亀田見ようぜ」ってことでクラスの友達と一緒に始発に乗って椅子取りに参加したけど、それでも一番前から10列目ぐらいだった。話を聞いたら、一番前の人は前日より前から並んでいるらしい。マジ無理。ノート作成術は役立つ。

 

泣きながら英作文

津守先生英語で毎週英作文を添削してもらったと書いたけど、2学期のある日、機嫌の悪かった兄に「お前が受かるってことは、他人が落ちるってことだ。お前なんか受かんないほうがいい」といわれて大喧嘩になって、酷い有様になったけど、もう癖になってたのか泣きながら次の日に添削してもらうために英作文を書いていた。

そして冬期講習

東大」を冠する講習と、馬場先生英語オリジナル講義を取る。さすがに冬期講習ぐらいになると、現役生も本気なので緊張感が違う。逆に本科生は元気がなくなる時期。自分もつらかったので、クラスの友達と一緒に馬場先生講義をとって心の栄養に変える。4月からずっと大学受験中心の生活だったから倦みと緩みが出てくる。これは油断とかじゃなくて、体の底から湧いてくる倦みと緩み。泥の中にいるような感じになる。成長を実感できなくなる。現役生のパワーに負けるようになる。こればっかりはどうしようもない。乗り切れるかどうかって話。

3学期

3学期になると、本科の講義はほとんどないのと同じになる。夏休み明けより暗い顔が多かったのは、仕方のないことだろう。最終講義では「頑張ってね」みたいな話で送り出される。講師大学生だったときの話、自分が夢をつかめなかったことなど。クラス担任は大学数学教科書を見せてくれた。

自分東大じゃなかったら東京理科大という方針でいた。東京理科大センター利用なら確実に受かるので、これを滑り止めにして、国立の本番前に調整として早稲田教育理科を受ける。なんで早稲田の理工にしなかったかというと、東大に落ちた場合に早稲田に行こうとは思わなかったし、教育のほうが試験が簡単だったから。親からは「早慶の両方受けなくていいのか」とか、「早稲田にも入学金を納めなくていいのか」とか再三聞かれたけど、方針は譲らなかった。模試は最高でC判定(合格率40%ぐらい)だったけど、この頃には、だいぶ吹っ切れてて、つみあがったノートを復習する日々。ダメだったら、ダメでいいじゃんと、普通に思っていた。

センター試験

話には聞いていたけど、浪人生がその自慢のノートを広げている姿を見ると、現役生は顔の色を変える。本当にそうだったから、笑った。だって、ノートが全然違うもの。10ヶ月間必死にまとめてきたんだもの。模試の結果からセンターの得点率は9割はいけるなと思ってたら、ピッタリ9割だった。僕のころは東大を受ける場合は800点満点で、8割ぐらいが足切りラインといわれていた。

総合723点で、国語が147点だったのがギャグだったけど、他で落とさなかったから良かった。好きだったから無駄一生懸命勉強した地理は85点。現役時代と変わらない得点。試験なんてそういうもんだ。

次の日、自己採点で集まった東工大コースの面々。みんな一様に暗い。一番よく話してた子は数学で大失敗をしたといって、無表情になっていた。そういうことはある。

あるときの東工大模試化学だけが異様に簡単だなと思って、次の日クラスで話したら「めちゃくちゃ難しかったよ!」とか言われたことがある。結果が返ってきたら化学が全国3位。たまたま自分ホームランゾーン試験だったってこと。だから逆だってもちろんある。試験が空振りゾーンにくるときが。

国立2次

東大入試っていうのは、今もそうか知らないけど、あいうえお順に受験番号が決まる。だから、前年見た顔をまた見ることがあるという。同じ教室に高校時代の友人が二人いてびっくりした。「そういえば名字似てるしね」とかいって笑って挨拶した。

2日間かけた試験だったけど、得点率でいうと、英語が満点、国語が8割、物理化学が6割、数学が3割という感触だった。数学が空振り。当落線上ギリギリだなって思いながら気分は後期試験に。

でも、後期試験対策の手が付かない。僕は既に燃え尽きて灰になっていた。

合格発表

アメフト部ウォリアーズ胴上げすることで有名な東大合格発表普通に見に行って、普通合格を確認して、普通生協合格者用の袋をもらってその場を去った。途中後輩に会って「落ちました」と聞いた。僕の態度から後輩も僕が落ちたと思ったらしい。そのくらい僕は醒めていたし、合格者用の袋はもらってすぐにかばんにしまっていた。

兄に言われたことだが、自分が受かったことで誰かが落ちたのはまぎれもない事実だ。

「そういう態度は逆にいやらしいですよ」と後輩に言われた気がする。

そこは、どうなんだろう?僕は「勝ってガッツポーツをしない」という武道の古臭い考えは好きだ。

ただ、この場合、僕は武道的な考えから喜ばなかったというより、喜ぶ元気もないぐらい疲れていたんだと今は思う。

 

という感じ。

 

現役の人は、これから頑張れ。

浪人の人は、どんなときも継続が大事です。泣きながら勉強してください。

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