2009-07-10

付け焼刃の経済学史でブラック企業がのさばる素地を考えて現在日本の状況を極めて独善的に整理してみる その1

素人です。

ですのでこの項に登場する経済学者の言説は大いに誤った解釈をしている可能性が高いです。

でも気にせず逝きます。

*クソ長くなったので先に結論部分をまとめます

前編:経済思想上のブラックがのさばる素地の形成について

労働市場自然状態に任せるとダンピングが起きる。

ケインズ理論欠点があったために、労働市場の積極的改善というその利点もろとも葬られてしまった。

ケインジアン亡き後、完全自由競争信奉が先進国を席巻した。

④その為労働力ダンピング失業率の高止まりが防がれにくい素地が築かれた。

後編:日本においてブラックがのさばっている理由についての考察

日本戦後ずっと右肩上がりで成長してきたために、失業問題に大きく悩まされる時期があまりなかった

②それがゆえに社蓄の害が単に個人の人生観に回収され、社会的問題とならなかった

バブル後の増加した非正規雇用者の悲惨な状況を見て(または未必に協力して創出し)失業への強い恐怖を抱くようになった

失業への強い恐怖から、不当労働行為を甘んじて受ける(法律上は勝てても経済体力的に持たないという理屈もあるだろう)

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まずブラック企業がのさばりやすい理由、つまり労働力ダンピングがおきやすい理由を最初に考えた(としてください)のはアダムスミスみたいです。

アダムスミスは「国富論」の中で以下のように整理しています。

使用者達は、暗黙のうちに、しかし恒常的かつ一様の団結を結んで、労働賃金を実際の額以上に上昇させまいとしている。

我々がこのような団結をめったに耳にしないのは、誰もが耳にしないほどそれが通常の、ものごとの自然の状態といっていいものだからである。」

また労働争議の段に際しては

「それまでの蓄えから、使用者は1年から2年耐えられるのが普通なのに対し、

労働者仕事がないと1週間で困窮するのがほとんどで1ヶ月耐えられる労働者は稀で1年持つ人はまずいない。

長期的にみれば、雇い主にとっても労働者が必要だとしても、その必要性は切迫したものではない」

こうした「交渉上の地歩の格差」がある以上、

あらかじめ使用者側にハンディを負わせないと(つまり自由を制限して)労働力ダンピングが起きてしまう、

アダムスミスは考えていたようです。

アダムスミスは良く知られているように自由放任を是とした学者ですが、

こと労働市場に関しては、積極的に自由競争市場を作り出す必要性を主張していました。

しかしアダムスミスの後、デヴィッドリカードらから連綿と受け継がれてきた

自由放任主義にはこの視点が欠けていました。

彼らは「供給需要を作り出す」というセイの法則を前提として

労働市場も自由競争させれば、労働需要供給は長期的には均衡する」と考えていました。

20世紀に登場したケインズはこのような自由放任主義に対し「貨幣改革論」の中で

現在の状況に対して長期的な視点と言うのは見当違いである。長期的には我々はみな死んでいる」と強く批判しました

(ひょっとしたらアダムスミス的な意味需要供給の均衡を労働者が待つことができないといいたかったのかもと私は思いますが、如何せん切り貼りなので文脈がわかりません)

ケインズリカード以降の古典派が、経済システムの調整不良の原因を貨幣賃金の硬直性に求め、

賃金体系を引き下げれば、生産物価格低下をもたらし、それが新たな需要をつくり、

生産量と雇用量の増加をもたらす、と主張していたのを批判して

「ある個別産業について賃金を引き下げれば、それは総有効需要にも影響を及ぼす。

古典派の主張はある産業における賃金引下げが総有効需要に影響を与えない場合にのみ有効であるが、

賃金引下げが総有効需要を引き下げないという保証はどこにもない」

とし、

「むしろ賃金の引き下げが総有効需要の構成要素であるところの消費と投資を減少させ、雇用状況をかえって悪化させる」

可能性すらあることを示しました。(つまり賃金引下げがもたらす総需要減と生産価格の現象がもたらす需要増の比較で、いつも需要増が大きいわけはないと言っている)

(一般理論

ケインズの登場後、しばらくは国家経済に積極的に関与する必要が問われ、

世界恐慌を乗り切るために世界中で(戦争を含んだ)公共事業が行われました。

時代は流れて、1970年代に入るとミルトンフリードマンらの影響を受けた新自由主義が台頭してきました。

彼らはケインズが主張していた現在の所得が消費行動を決定するという主張を限界資本効率がケインズの予想に反して逓増していたことを示し、

その乗数効果疑問符を投げかけ、金融政策による事態の解決が最も適切な行動だと主張しました。

政治的にも英国マーガレットサッチャー米国のロナルドレーガンという人物を得て、

マネタリズムはその全盛を迎えます。

英国米国ともに結果的にインフレ抑制に成功しますが、失業率が高止まりし、社会情勢は不安定化していきました。

彼らは労働市場ももちろん完全な自由競争にあるべきだと考えていました。

しかし現実には給与格差が大きく広がり、賃金に収縮性が生まれたにも関わらず

完全雇用が実現されるどころか失業率は上昇していったのです。

日本でも中曽根橋本小泉と連綿と新自由主義的「構造改革」は受け継がれてきました。

ここまでを整理すると、

労働市場自然状態に任せるとダンピングが起きる。

ケインズ理論欠点があったために、労働市場の積極的改善というその利点もろとも葬られてしまった。

ケインジアン亡き後、完全自由競争信奉が先進国を席巻した。

④その為労働力ダンピング失業率の高止まりが防がれにくい素地が築かれた。

という感じかと思います。

後編に続きます。

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