2023-05-27

あなた大事存在だ」

「どこに行こうと、いくつになろうと、私の大事子どもからね」

冗談なのか、軽く酒が入っていたのか知らないが、誕生日ということで買ってきたちょっといい食材料理を食べながら親はポツリとそう言った。

その後ひとしきり花が咲いた他愛のない雑談の流れの中で、しかしその言葉はしっかりと意識の奥底にとどまっていた。

後片付けをして、部屋に帰って一息ついてから、よく分からない泣き笑いのような表情になっている自分に気づいた。

そんなの陳腐クリシェだし、ドラマじゃあるまいし、現実で口にするようなことか?とフル回転するメタ認知をよそに、慈雨のような涙が何筋か、精一杯ニヒルに笑ったつもりの頬を伝っていた。

大事存在には「あなた大事存在だ」と言ってあげるだけでよいのだ。こんなシンプルで単純なことに、なぜ気づかなかったのか。知ってる振りをしていたのか。

もしもあなたの身近にそういう人がいるのなら、折に触れて言ってあげてほしい。冗談でもいいから、何度でも

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