それって俺だけ?
女の子を首尾よくデートに誘い出して、今日はドキドキ初デートっていう時、
目の前の席で少し頬を赤らめて座る女の子を見て、
ゆっくり僕は目を閉じ、
もしこの子が僕の赤ちゃんを孕んで、臨月を迎えたら、どんな姿になるか
そう、僕は想像するんだ。
僕は答えを急がない。すなはち、すぐに身体の関係を結ぶようなことはしない。
ゆっくり、ワインを静かな蔵の奥でゆっくりと寝かせるように、恋を育んで行くんだ。
されど、臨月。
その来るべき未来に、僕は思いをはせる。
僕は目を開く。目の前には先ほどと変わらず、女の子が僕を見つめている。
僕もその事を、あえて告げたりはしない。
そして何事もなかったかのように、軽妙なトークで彼女を楽しませるのさ。
恋のレコンキスタ。
アルハンブラ宮殿は、もう既に、陥落しようとしている…。