俺はダサい。
まず、顔がまずまずだ。いや、まずまずじゃない。正直、まずい。こりゃまずい。
首から下もダサい。いくらオシャレをしてもダサさに拍車をかけるだけだ。
…と、こんなふうに匿名では「俺はダサい」と言うことが出来る。
しかし現実世界では「俺はダサい」などとは口が裂けても言えない。
それは、『俺がダサいこと』はあまりにも事実すぎるからである。寸分違わぬ事実だからである。俺がそんな事実を述べようものなら、周りの人間は「確かに」と思う。すげぇ!確かに!!と。
そしてそう思った後に大人の礼儀で「そんなことないですよ」と俺に気を使わなければならない。
俺としては、そんな気を使わせたくはない。周りの人間に嘘をつかせるわけにはいかない。
本来、「わたくしはダサいのです」という発言は、ダサくない人間がするものなのかもしれない。
ダサくない者が「わたくしはダサぁございます」と言えば、周りは「いやいやダサかぁないですよ」と惜しげもなくフォローできる。
俺はいつもダサくないふりをして生きている。『ダサいけどダサくないんです』という顔をして歩いている。
拙者はダサい。
この文章はダサくないぜ。 むしろ、すげえいいと思うぜ。