2016-03-10

熱がある

「熱い」

「熱い」

彼は大きな音を立てながら火照る体を必死で冷まそうとしています

さな部屋に住む彼は、その部屋の主人と1日の大半を過ごしています

彼は主人の暇つぶし相手勉強相手仕事相手他人には言えないようなことまで、主人のためにあらゆることをこなしています

もう主人とは7年の付き合いになるのでしょうか。

彼が主人のもとに来たころ彼はまだ主人の世界の窓口ではありませんでした。

その頃は主人もつれなかったのですが、彼が世界と繋がることができるようになってからほとんどの時間を彼と過ごすようになりました。

そんな彼ももういい年です。

彼の健康診断をしている時、音楽を覚えている時、映像を流す時。

彼は熱さのあまりたびたび気を失ってしまうのです。

主人は気にせず彼を興すのですが彼には一つだけ心配事があります

「いつか記憶を失くしてしまうかもしれないな」

主人は彼に風を当てたり、少し浮かせたり、氷を当てて彼を冷ますのです。

それは彼のためのようですが、主人は自分のために行っています

彼はそろそろ主人に捨てられる日が来るだろうことを感じています

それでも彼は熱い体を、熱い頭を無理やり動かし頑張っています

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