2015-04-17

私は満員電車が嫌いじゃない

私は満員電車が嫌いじゃない

この季節、ドアが空いた瞬間にわずかに触れられる外の空気が嫌いじゃない

人と人の間から、腕とカバンの隙間から見える外の景色が嫌いじゃない

スマートフォンを弄るスペースが無いから仕方ない振りをして、下品中吊り広告を読み込むのが嫌いじゃない

つり革を掴むだけでは足りずに、荷物置きの棒を掴んで身体を支えることがトレーニングをしているみたいで嫌いじゃない

駅でぎゅうぎゅうに圧迫された状態だったのに、大きく揺れる度に少しずつ密度が調整されて楽になっていく様子が嫌いじゃない

十分高い密度になるまで人が乗っているのに、さらに人が乗り込もうとしてきたときの「えっ まだ乗るのかよ」という無言の共感が嫌いじゃない

通路に飛び出たリュックサックを押しのけて、グイグイ奥へ進むサラリーマンの勢いが嫌いじゃない

そんな中でもテスト対策なのか、参考書らしき本を読む学生さんの頑張りが嫌いじゃない

混んでいる中で知らない4人が向かい合い生まれた謎スペースで、それぞれ本やスマートフォンを見るのが嫌いじゃない

はてな匿名ダイアリーの新着記事を読んで、乗り換えまでの退屈を紛らわすのが嫌いじゃない

この車両の中には自分以外にもなーがいるかもしれないと、思えることが嫌いじゃない

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