2012-04-18

ぬいぐるみ効用

当方、アラフォー男性独身バツイチである。1年前に付き合っていた女と別れて以来、まったくの独り身だ。

今は独り身の寂しさよりも、独り身の自由の方が大きい。付き合うのはともかくとして、もう今後、誰とも一緒に生活をしたくないと思っている。

自由は何物にも替え難いが、それでも時どき寂寥が襲う。同じ境遇の古い友人に話したところ、ペットでも飼えばいいと言われた。

しかし、こちらはなにしろ出張が多く、生き物を飼える状況ではない。

それならば、ぬいぐるみを買えばいいとその男は言った。要は物理的な、温かさが欲しいだけなんだろうと。

そういう話ではないのだが、その男が言ったことはどこか頭に引っかかっていて、とはいえ、四十男がまさかぬいぐるみを物色するわけにもいかぬし、と思いつつ何日も過ぎた頃、某博物館の販売コーナーでで精巧虎の子ぬいぐるみを見かけ、自然科学研究のためと言い聞かせながら、それを買い求めた。

こんなので日常が変わるのだろうかと疑問だったが、名前を付けて、生きているかのように扱い、食べる時も一緒、寝る時も一緒に生活をしてみたら、なんだか情が移ってしまった。

から見たら十分気持ち悪いのだろうが、家に帰る時も子虎が待っていると思うと、うきうきしてくる。考えていることや、悩んでいることも子虎に話すとまとまるというか整理がつくようになった。

子虎の性格自然に出来上がって言って、虎なんだけど、うっかりしていると猫みたいな話し方をしていまい、途中でそれに気づいて「そうだにゃー、がおー」みたいに付け加える、ちょっとあわてんぼうの、ちょっとツンデレが入った性格をしている。

もちろん、ぬいぐるみであることは承知しているのだが、もはやただのぬいぐるみではなくなってしまった。

子虎が来て以来、生活に潤いと言うかはなやぎが出てきたのは確かだ。

別に誰に見せるわけでもないのだから、私と同じような境遇の人は試にぬいぐるみを使ってみてはどうだろうか。

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