2010-11-16

けいおん!がくれた、失われたはずの三年間

ルーズソックスを履いている女子高生だった。

今から十年前のことだ。

あの頃は、今よりずっと人付き合いが苦手で、でも一人でいるのも恥ずかしく、必死で友達を作ろうとしていた。

 

 

いじめと呼べるほどのものではない。ただ昨日までは机を突き合わせて一緒にお昼を食べていたのに、今日になると突然私の机だけがはじかれているとか、聞こえるギリギリくらいの声で悪口を言われるとか、そういった地味な仲間外れが度々起こった。一大決心で他のグループに入れてもらっても、仲良くなるとそこでは売春万引きが当たり前だということが判明。自分に合う友達はなかなかできなかった。

 

 

卒業間近にはようやくあるグループの中になんとか入ることができたけれど、「高校生活、うまくいかなかった」という感情が残ってしまった。そして最終的に仲良くなった子たちとも、卒業後何年かしてちょっとひどいことが起こって、付き合わなくなった。

 

 

卒業アルバムは捨てた。学生時代のものは、もうほとんど何も残っていない。

死にたい」って言葉ばかり並んだ、あの頃のノートだけは捨てられずにいる。

 

 

そんな私が、流行にのって「けいおん!」を見た。

毎日お茶したり、お昼を食べたり、放課後には当たり前のように集まってじゃれ合っている。

憧れの日々。

1期と2期を通して見ていたら、一緒に高校生活を楽しんでいるような気分になった。

 

 

そしてふと思った。ムギって、ちょっと浮いてるよね。

なんだかんだ言って幼馴染って特別な絆なんだ。律は澪で、唯は和ちゃん。あずにゃんは後輩だからまぁいいとして。あの「みんな仲良しだけど特別仲良しはいなくてちょっと浮いてる感」が、うまくいってる時の私とちょっとダブった。ただし逆のベクトルで。ムギ場合は一人だけお嬢様だけど、私は一人だけ貧乏な家の子だった。みんなは大事に育てられてる子たちで、私はその逆。

 

 

決めた。

私は高校時代を、この桜が丘高校軽音部で過ごした。

毎日みんなと一緒にお茶して、いっぱい笑って。

中でもムギと特に仲良しだった。

 

 

ういうことにした。

 

 

だからもう苦しむ必要はないんだ。

職場での世間話の途中で学生時代の話になったり、テレビ高校生が映ったりする度に落ち込んだりしなくていいし、彼氏が友達の話をする度に自分たちを「うちら」と呼ぶことにいちいち傷つかなくたっていいんだ。唯が「卒業アルバムは一生残るんだよ」って言ってたけど、私の卒業アルバムは大嫌いな人たちが載っている捨てたアルバムじゃなく、みんなに髪を整えてもらって撮った桜が丘のアルバムなんだ。

 

 

多くの人にとってはただの萌えアニメかもしれないけいおん!だけど、私にとっては青春だ。

けいおん!ありがとう。

大好きを、ありがとう。

ずっとずっと苦しかった三年間の思い出を、書き換えてくれてありがとう。

トラックバック - http://anond.hatelabo.jp/20101116233849

記事への反応(ブックマークコメント)