2009-11-29

http://anond.hatelabo.jp/20091129120858

二重盲検と対症療法についてちょこっとだけ書いた増田です。

なるほど、少し分かった気がする。

あなたは漢方について、効果だけでなく根底にある思想を含めて評価してるんだね。

 

川の例えだと、仮に東洋じーさんのやり方でうまく行かなくても、方向性としてそちらの方が正しいという風に、確かに思える。

でもそれは、イデオロギーの問題もあるし、さらに言えば我々の心のどこかに「東洋じーさんのやり方のほうが、最終的にうまく行く」という(必ずしも根拠は明確でない)確信みたいなものがあるからではないかな。

食物繊維の例なんかは、むしろいわゆる「科学的」なやり方を支持する話に私には見える。ことわざとして何となく受け継がれていたけれど、本当かどうか分からなかった事について、3,40年かけてコツコツ研究した結果、やっぱりことわざが正しかったと分かった訳でしょう。

 

長い伝統こそが効果のある証明であるという主張も、一定の根拠にはなり得ると思うけど、それのみで判断するのはやや無理があるように思う。基本的に人間は、効果のあった事はよく覚えていても、効果が無かったことはあまりよく覚えていないものだ。よく言われるプラセボ問題(本当に薬が効いたのか、薬を装っていれば薬でなくても効くのか)についても、経験則では評価できない。

それに、ここは東洋医学に対する批判になるのだけれど、千年を越える歴史の中で、中心となる理論が基本的にずっと変わっていない、という所に私は不信感を覚える。千年前の人々が今よりも愚かだったなんてことは無いに違いないが、今よりも賢かったということもあるまい。すっかり完成してそれ以上改良の余地が無いほど完璧理論なんて、はっきり言ってこの世に一つも無いだろうと私は思っている。常に疑問を持って理論を眺め、おかしな部分は直してゆくのが、より良い理論へ辿り着く道だと思っている。長い伝統の間に大きな改革が無かったという事は、東洋医学の中には、そういった自己研鑽精神が足りないという事を意味しているんじゃないだろうか?

 

人の記憶感覚に頼っている限り、どうしても人間特有の間違いの傾向に落ち込んでしまう事を免れない。科学の手法というのは、その傾向を可能な限り取り除いて客観的な事実へ近づくための、これまた長い時間をかけて積み重ねた集合知だよ。

東洋医学の方法も、ちゃんと研究デザインを考えれば(例えば、薬だけでなく日々の生活や食事まで、評価の要素に含めるとか)効果を確認する事はできると思う。

とはいえ、そもそも間違いを正して客観的事実に近づいていくのが、本当に価値あることなのか?という点まで立ち返ってしまうと、科学的手法も大して意味がなくなってしまうんだけれども。

 

さて、冒頭に確認したように、あなたは漢方の効果だけでなく思想も支持しているようだ。単に健康になること以上に、その方法論が大切であるとお考えなのかもしれない。

思想が絡んでくるとなると、客観的な評価単独では、仰るとおり意味が無い(それでも評価自体が全く無価値だとは思わないけれど)。薬の効果という狭い評価範囲を超えて、人の心の機微や社会全体にまで話が及ぶ事だ。そして、事は保険適応の有無という極めて社会的・人為的な話なのだから、そこまで考えるあなたの方が、姿勢として正しいように思う。

私は社会情勢や経済法律には全く暗いので、今回の漢方保険についての問題には、ここでは直接触れないで置く。自分自身考えがまとまらないし、何か言っても見当違いになりそうだ。

あくまで「二重盲検」「対症療法」という単語の意味について、気になっただけ。でも、あなたの整理された文章を見ると、どうやらそれも余計なお世話だったらしい。申し訳ない。(「対症療法」についてだけは、未だにちょっと気になる。もしかすると、東洋医学の「対症療法」と西洋医学の「対症療法」は、別の言葉なんだろうか)

長文になってしまったけれど、誰かに噛み付いたりするつもりは全然無い。自分の考えを整理する役に立ったので、書くきっかけを与えてくれた元増田感謝しようと思う。

乱文乱筆、失礼。

  • みんなホイホイ署名しすぎじゃね? 署名ってそんな軽い気持ちでいいのか? そんな軽い気持ちで書いた署名に力があるとでも思ってるのか? 正直いって署名したやつも実際どうい...

    • 経緯 1967年10月、国は事務局長通知の形で、製薬会社が新薬を申請するときに、二重目隠し法による臨床試験のデータを提出するよう規定 しかし、1967年10月以前に許...

      • あなたのいう『二重盲検で集めるデータ』というのは「対症療法」を主眼に置く発想に基づくものだよね。 そのことによって薬効が確かめられる薬というものの効能を否定するわけでは...

        • あなたは、『二重盲検で集めるデータ』か「対症療法」のどちらか、あるいは両方の意味を勘違いしているように思う。 『二重盲検で集めるデータ』というのは、処方された薬にどのく...

          • そのために、申し訳ないが反論が反論になってない、と思う。 『二重盲検で集めるデータ』というのは、処方された薬にどのくらいハッキリした効果があるのかを見るためのもの。薬...

            • 二重盲検と対症療法についてちょこっとだけ書いた増田です。 なるほど、少し分かった気がする。 あなたは漢方について、効果だけでなく根底にある思想を含めて評価してるんだね。 ...

              • ていねいにお返事頂き感謝します。 これだけ丁寧に読んで頂くと、もうこちらからコメントすることって余りないんですが。 東洋医学の方法も、ちゃんと研究デザインを考えれば(...

            • 『なぜ』そうなるかを現時点で説明しきれないとしても、『確かに良い』と多くの人が言ってきて、今も言っているものについて、まだその理由が分からないうちから捨ててしまうよう...

            • 保険制度ってのはそのハッキリした効果を保証するためのものなんだから、ハッキリしない漢方が除外されるのは仕方ないんじゃね。 保険の外でやればいい話。

            • http://anond.hatelabo.jp/20091129120858 たとえば、近所の川が淀んでなんか嫌な感じの臭いとか虫が発生して困ってるとしよう。で、近所の西洋さんが言うわけだ。「脱臭剤と殺虫剤をぶちこめ...

              • これなんか、東洋医学が実は対症療法だった可能性の一例になるんじゃないかな? 前の書き込みの最後三行を読んでみて。あなたの言う程度のことは知っているけれども、それは『東...

                • 東洋医学の観点から西洋医学の「盲点(かもしれない)」ことを指摘したけど、別に俺は西洋医学の優位性を否定しようとは思わないよ。 いや たとえば、近所の川が淀んでなんか嫌...

                  • どうしても「優位劣位」ゲームに囚われてるみたいだけど、俺はそのたとえのまとめとしてハッキリ書いてるよね? 発想の根底が違うものを同じフィールドで比較するのは全然フェア...

                    • 最後に弁当をくったのはいつだろうとGood

                    • たとえば、近所の川が淀んでなんか嫌な感じの臭いとか虫が発生して困ってるとしよう。で、近所の西洋さんが言うわけだ。「脱臭剤と殺虫剤をぶちこめば収まりますよ」と。そりゃ、...

                      • 最初のエントリのポイントが「どっちが優位か聞いても意味ねえ」って点にある、と書いたことは華麗にスルーしちゃうんだ? はあ。 「他人の書いた文章の、明示された『意図』を無視...

                      • 最初のエントリのポイントが「どっちが優位か聞いても意味ねえ」って点にある、と書いたことは華麗にスルーしちゃうんだ? はあ。 いやいや、あなたの最初の文章を読む限り「...

            • 人体の仕組みは川のメカニズムよりもっと複雑だから、『なぜ』そうなるかを現時点で説明しきれないとしても、『確かに良い』と多くの人が言ってきて、今も言っているものについて...

            • 医療を巡る西洋医学派と東洋医学派の争いは根深いよな。西洋医学は「科学的」(実は西洋科学的なのだ)証明を求め、東洋医学派は経験主義をたてにそれに反論する。そんなのが明治...

          • 東洋医が主張する如く、「証」にあわせて漢方または偽薬を処方すれば、データを集める事はできるはず。 これには同意。効けば漢方凄い、効かなかったら証が合ってないで済ませち...

            • そんな検証したら「二重盲検で明らかに効果がないことが証明される」薬が少なからず出てくることになりかねないから漢方業界は全力で抵抗するだろうなぁ いやそりゃ口で言ってるく...

      • まぁEBMの時代だから再評価もいいと思うよ それで薬効が確認されている配合もあるしね 今までの処方の蓄積が「データ」じゃないって感覚はどうかと思うけどね こういう人が「日本の...

      • めっちゃ正論。 漢方薬と市民運動って、なんでつながってるんだろ。 スモン訴訟等の薬害裁判で活躍した医学者が、 漢方薬批判を始めた途端に、市民運動家から攻撃されるようになっ...

      • わが国で使われている医療用漢方薬147種類はすべて、 特例として治験を経ずに承認されており、ツムラによると、 通常の承認手続きに則る形で開発が進められている 漢方薬は「温脾...

      • 本来の漢方に二重盲検はムリ。それが「ほげほげ」という名前だろうと「はなくそ」という名前だろうと 患者を診て合うモノだけを処方するのが神がかった漢方医だから。 それができな...

        • 妊娠している人にろくすっぽエビデンスが無いような漢方薬出す方がよっぽど怖いと思うけど。 「普通の薬は化学物質だから駄目だけど漢方薬は自然のものだから安心・安全!」と言う...

      • 漢方の保険適用過程は真っ黒 しかも医師会会長が関わってるんやで http://anond.hatelabo.jp/20091128145746

    • 一つの見方として面白かった。 正直なところ、今回の事業仕分けで起きている混乱は、報道を担うマスコミがきちんと己の責務を果たしていないことで引き起こされている部分がかなり...

      • スパコンの件でも金田康正氏とか松井孝典氏とかいたし 今回いわゆる弁護側には一人も用意してもらえなかったが自民時代だった今までも見識者連れてきてはいたのよ。その流れで京速...

        • 両氏の専門は例の長崎大学の格安GPUグリッドでいける内容 下記2件のソースくれ。 例のGPUグリッドってGRAPEモドキじゃねえの?他に何ができるの? 金田さんの専門って何?大規模数...

    • そのサイトの内容には疑問が多いので俺も少し書いてみた 気が向いたら書き足す http://anond.hatelabo.jp/20091127234400

    • 署名は低コスト。放置することで本当に漢方が買えなくなるのは高リスク。 とりあえず署名しとこうという気になるな。

    • ネットで署名(笑)すればタダだからな。 キーッって署名したやつで市ヶ谷にいった人いないんじゃww 俺達の自民(笑)のときは、闇の中で決まってたことなのにねww

    • 漢方薬で難しいのは、同じ薬でも効果が人によって全く違うこと、同じ症状でも処方すべき薬が体質によって全く異なることなんだよな。だから「薬局で売ってるんだから医者で処方し...

    • ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。 ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社...

    • 薬って成分で判断するものなのか? 厚生労働省は治療者の金銭的負担や、実際の効能・実態で見てるんじゃないのか? 成分によって効能が決まるんだから、成分で判断することと効...

    • 漢方というのは医師の処方箋が必要なバイアグラとは違って、どれも市販に買えるものです。だから、今回の仕分けが本当に実施されれば漢方の保険適用外はまぬがれないでしょう。 そ...

    • パソコンで文章を書くと軽くなると言われていたように、ネットを通すと気軽になるんじゃないかな。大意での悪口でも、ここや2ちゃんやニコ動なんかでバンバン書いてるじゃない。匿...

    • そもそもこの事業仕分け。言ってる事がメチャクチャ 1.>保険の掛かった薬は安く買える分、必要以上に買いすぎるということもある。   医者の薬は医師が処方するもので、患者...

      • 1.>保険の掛かった薬は安く買える分、必要以上に買いすぎるということもある。   医者の薬は医師が処方するもので、患者が選んで買うものではない 揚げ足取り。 2.>...

        • 揚げ足取り(笑) 患者が選ばず医師が処方する薬でどうやって「安すぎて買いすぎる」なんてことが起きるのか教えてもらえるかい?

          • 実際の発言を聞いてみないと分からんが、 患者が医者に「安いんだからもっと処方してください!」とか頼む 医者が大量に買い込んで、その在庫を患者にばらまいて医療報酬点数稼...

            • ・患者が医者に「安いんだからもっと処方してください!」とか頼む こじ付けにも程があるw ・医者が大量に買い込んで、その在庫を患者にばらまいて医療報酬点数稼ぎ これを待って...

              • ・患者が医者に「安いんだからもっと処方してください!」とか頼む こじ付けにも程があるw いや、実際にあるそうだよ。「薬をいっぱい処方されないと安心できない」からと、...

                • >> いや、実際にあるそうだよ。 << でもそれは漢方薬と直接因果関係のある話じゃないし、医者の対応が問題なのであって薬の値段が安いのが問題って訳じゃない >> そもそ...

                  • そもそもWGが特に漢方薬を槍玉に挙げたという事実はない、というのが元増田のエントリの趣旨だろ そんなことはない、何もわからないまま槍玉に上げているというのがこの反...

                    • そのエントリも資料の読み違いをしているに過ぎない 漢方薬は全部市販されている以上、以下の理屈だと基本的にすべての漢方が保険除外対象になる >>湿布薬・うがい薬・漢方薬な...

                      • つまり、「(湿布薬・うがい薬・漢方薬など)類似薬が市販されており、医師が処方する必要性が乏しい」薬については保険適用から除外すべきでないかということであって、「漢方薬...

          • 横だが、患者側が選ぼうが、医師が処方しようが、必要以上に出すという結果になるのなら、その指摘には揚げ足取り以上のもんはないんじゃね? そりゃ調剤薬局と病院の経営が別れて...

      • 患者が要望すれば薬でるよね。 年よりが腰が痛い言えば、シップ処方してもらえるじゃない。 高齢者なんて病院に世間話ししにいくようなもんだから、じーちゃんとかばーちゃんから余...

    • 医師が処方する漢方薬のうち、「市販品類似薬ではない」ものなんてほとんど無いぞ。 ミスリードだとか早とちりだとか、寝ぼけてるとしか思えない。

      • 医師が処方する漢方薬のうち、「市販品類似薬ではない」ものはない 純粋な興味からなんだが漢方って処方と市販で成分同じ?つまり、例えば、湿布は薬効が処方の方が市販のものより...

        • >純粋な興味からなんだが漢方って処方と市販で成分同じ? 成分ってのがどこまでを指すかによるが、漢方は「何が入ってるか」がポイントで「どれくらい入ってるか」は規定がない。 ...

    • 増田の発言を見て、邪推なのかもしれないけど 薬の通信販売規制強化も、今回の件も 「日本○ェーン○ラッグ○○○協会」 がらみなのかと思った。 それで、モ○ガ○や○ずほは会社の...

    • 漢方薬の署名活動に対する疑問 http://anond.hatelabo.jp/20091128040524 ↑では、署名活動の趣旨や内容について疑問を抱いたので、 それについていろいろ調べたり素人なりにぶーたれたりし...

      • 自分は何もわからないままおかしいおかしいと騒ぐくせに、相手にだけ論理的説明を求めそれが出来ないならお前らの主張は間違ってるとする矛盾

    • http://anond.hatelabo.jp/20091128040524の件について。 漢方薬と混合診療 署名を呼びかけるチラシの中に、以下の一文があった。 「保険適用外になると漢方薬を処方することは不可能になる」...

    • 厚労省から公式見解が出ましたね http://anond.hatelabo.jp/20091128040524 つまり仕分けの方針としては、「漢方薬は市販のものを買って、すべて保険から外しなさいという指摘」であったという事...

    • 事業仕分けに法的な決定権が無いんだから、口だけじゃなくて、ちゃんと話合いをしてくれよって意味で署名した。 政府で話合いも無しに、拡大解釈が現実の物となって実行されたら、...

    • 「葛根湯」が保険適用されなくなると思うと、結構キますね。 実際「何が」保険適用外に成るのか?というのが次のステップでしょう。 多分ね、コレ決まんないと踏んでます。政治家は...

    • 「皆さんに緊急のお知らせです。」 http://lolocaloharmatan.seesaa.net/article/133805128.html 消えてる。 LOLO CALO HARMATAN: 漢方保険はずしその後 http://lolocaloharmatan.seesaa.net/article/134262161.html 情報の流...

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