2009-09-18

Vistaが何故職場に入らないか

Windows7Vistaの比較

http://anond.hatelabo.jp/20090917201807


ってのを見た。



未だにVistaオフィスに入らない理由としては、重いとかではない。

実際、Vista Ult(32bit→64bit)を、それなりにリソースたっぷりCore i7)のPCで使い続けてみたけど、XPと比較して、OSのせいで処理が遅くなるとと感じるケースはあまりない。(但し後述で一部訂正する)

でも、Vistaは、ビジネスで使うにはトラップが多すぎる。

ビジネスで使われるPCってのは、今まで何とかPC仕事をこなせる程度の、一般的なPCスキルの持ち主を想定しなければならない。

この層が、Vistaや7を使いづらいと感じてしまうのであれば、それは抵抗されるに決まってるわけで。


まず、一般的なPCスキルの持ち主が感じるであろう問題。

1)UACの問題。いちいちダイアログが出るようでは、OSの事など知ったこっちゃ無いユーザーには恐怖しか与えない。(Win7では改善される)

2)XPであれば周りに操作を聞いたり相談したり、Tipsを交換しあえるのに、そんな中でVista渡されたら、こんなのどう使うのって怒られる。間違いなく。

3)勝手タスクで色々管理する。デフラグデフォルトスケジューリングされてるとか、何なの一体。(Win7でも改善されない)

4)見た目が変わる。いや、冗談ではなく、それだけで嫌がる人はいるんです。(Win7はもっと酷くなる)


次にリソースの問題。

一般的な職場を見渡せば判ると思うけど、基本的に職場で使われるPCってのは、5年程度使われるモノ。(リース契約とか使ってね)

2年前のPCなら、まず基本状態でVistaは稼動するだろう。けど、それ以前のPCはどう?といわれれば…ね。


さらに、環境の問題。

XPVistaが混在している環境なんか、管理側からしたって想像したくない。

そして管理Server自体が2003Serverだったら。

いきなりVistaクライアントとして放り込むわけにも行かず、かといって2008Serverにリプレースするなんて、面倒でしょうがない。


結局、職場VistaWindows7も同じだけど)を導入するってことになれば、基本的に部署単位より大きな単位で、一括でごっそりやるしかないわけで。

PC価格は下がってるし、一括導入をするコストは確かに安くなってはいるけれども、「今の状態を維持」するコストが、「Vista/7を導入して出てくるメリット」を凌駕するとはとても思えないんだよね。

さらに言えば、職場PCを大量に導入する場合は、環境を色々同一にしなければいけない(職場毎の基本カスタマイズが必要)なのだけれども、Vistaを導入する場合、やることが多すぎる。管理者側からして、2003ServerとVista(または2008ServerR2とWin7)との連携勉強しなおさなきゃいけない。


これらを踏まえて、たとえばPC職場で大量にWin7で置き換えると考えてみよう。

導入までに掛かるコストの割合は、

PCリース契約のやり直しと新規契約OS代はここに含まれてしまう。) 30%程度

運用管理用Server(Domain管理/FileServer/その他色々)の新規購入orリプレース 30%程度

運用教育学習コスト 20%程度

社員教育コスト 20%程度

こんな割合になるんじゃないだろうか。

だから、いくらWin7価格を安くしようが、PCを安くしようが、屁のツッパリにもならんくらいしか、全体のコストは下がらない。

更に、ネットワーク構成の見直しやら旧環境との相互運用なんてものまで考えだしたら、運用側としては逃げ出したくなるね。


こういう風に、職場Vistaや7を入れるには、掛かるヒューマンコストが半端でないってことを、きちんと説明しているIT系サイトが少なすぎるよなー、と感じる次第。

結局、Windows7が出荷されたとしても、XPサポートが切れるとか、リース契約が終了するとか、運用管理サーバを何かのきっかけでリプレースするとか、そういう事が無い限り、各現場Windows7バンバン入れるなんて幸せな路線は、ありえないという、お話

個人的には、XPサポートが切れたとしても、サードメーカーが「ウチがXPの面倒みまっせ」と手を上げて、そのサービスが大人気…なんて商売がなりたつんじゃないかと思う。致命的なセキュリティバグが出ない限りにおいて、だけども。IPv4限界に達するまでは、おそらく職場ではXPの天下が続くんじゃないかな。いや、それですら逃げ道はあるんだけども。



追記:Vista/7に関しては、その利用に関して2点「直接的な問題」もある。

1つ目は、バックグラウンドで動いているサービスが多すぎること。(Windows7では少し減ったみたいだけど)

処理に関してどれだけ性能の高いPCを使っていても、正直言えばXPや2000の軽さは望めない。1つのプロセスの処理時間そのものは変わらなくても、どこと無くもっさり感を感じてしまう…という体験からは、逃れられない。

とはいっても、XPも登場当時はこれで散々叩かれたわけで、慣れの問題かな。

2つ目は、同時に導入されるであろうMS-Office2007。これは家庭向けPCではあまり気がつかない(導入されていないケースが多いから)、最悪の問題だ。UIへの戸惑いは、PCスキルが無い人にとって致命的過ぎる。Win7ではこのUIアクセサリまで進出してるって?どんだけ。


追記の追記:最後に忘れてた。Office2007に入ってるIME2007!一番操作感を左右するであろう文字入力変換で、こんなバカ重いソフトなんか使わせたら、絶対クレームモノだ。とっとと窓から投げ捨てろ。どんだけ性能高いPC使ってても、これだけは導入禁止。

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