はてなキーワード: おたくの本とは
上野千鶴子 そうね(と『ペンギンクラブ』を覗き込む)、これって少年マンガというより少女マンガの絵よね。大塚英志くんが言っているんだけど、少女って「使用禁止のボディを持った女の子」のことでしょ。ここにあるのはみんなかわいい女の子の絵ばかりで、成熟したセクシーな女っていうのはひとつもないでしょ。この「かわいい」ってのがキーワードなのよね。これを描いてる男の子も、きっと「かわいい」少女の側にいたいのね。
彼らは男であるということをもてあましてしまってる。もっと言うと、「男になんかなりたくない」と思ってるんじゃないかな。とっても痛ましいよね
――痛ましい?
上野 こういう男の子たちって、男であるということに深く傷ついているんじゃないかな。だからセクシーな女じゃなくて、「かわいい」女の子しか描けない。
少女マンガって「少女のままでいたい」「成熟した女になんかなりたくない」っていうメッセージでしょ。そういう世界でしか生きられない男の子たちも、同じように「大人の男になんかなりたくない」って叫んでるのよ。
――この投稿欄を見ると、女の子のイラストの隣に丸文字でメッセージが書いてあって、この女の子って彼らの自画像なんじゃないかっていう気もするんですが。
上野 フロイトによると、人間には二種類の欲求があるの。こんなところで、フロイトなんて使いたくないけど(笑)。そのひとつが、対象化要求。相手を所有したいという要求なんだけど、でも、こんなに目の大きい女の子が現実にいるはずないじゃない(笑)。もうひとつが同一化欲求。その人自身になりたいと思うわけだから、その場合はこのイラストの女の子が、この絵を描いた男の子の自画像ということになるんだけど、それだって不可能だよね。それに性転換でもしないかぎり少女の世界からは拒絶されている。だから彼らは、永久に自分の欲求を実現できない。
最近だと2004年の「悟りを開いた人」ブームとかあったけど。
追記:このエントリー書いたのは私.by tenkyoin