はてなキーワード: ジャイロボールとは
いつものように私は仕事を終えて駅から自分のマンションへの道を急いでいた。吐く息が白く、もう辺りは暗くなっている。時折吹く風は体の芯から熱を奪っていくように冷たく、刺さるようだ。自然と私の足取りは早足になっていた。
コツコツコツ
私のハイヒールの音が通りに響く。何故か今日は極端に人通りが少ない。少し恐くなってさらに私の足はスピードが上がった。
コツコツコツ ぴたんぴたんぴたん
何?
変な音が付いてくる。
マンションまではまだ距離がある。なんて事。いつもは割と人通りがあるこの道を、本当に今日は猫の子一匹通りはしない。
「まてーい、そこの処女!」
えーはいはい、私は処女ですが何か?と言うお人よしはいない。こんな奴を待ってはいけない。いきなり人の事を処女呼ばわりする人間は、高確率で変態でコミュニケーション能力が不足したネットでしか発言できないようなブサメンで童貞の処女厨に違いない。
私は思わず走り出した。
「あぶなーい!!」
先ほどと同じ変態処女厨の声が響いた後、突然私に何か黒い影が飛び掛ってきた。
声を出した変態処女厨は、私と黒い影の間に入り、その黒い影を弾き返した。
弾き返された黒い影はゆらりとその場に立ち上がった。身長2mを越えるような真っ黒い犬のような獣が後ろ足で立っている。もちろん、そんな犬は存在するわけが無い。化け物だ。私の前に絵に描いたような立派なブサメンの変態処女厨が立ち、黒い化け物から私の身を守るようにしている。
黒い化け物に襲われそうな危険場面だが、処女厨は処女厨で危険極まりない。
「おい、そこの処女!」
ぞんざいに話しかける処女厨。
私はうっとうしいという感情を押し殺すことなく、不機嫌満載で処女厨にこたえた。
「何ですか?」
「処女よ、お前はあの化け物に狙われている。
いいか、よく聞け。地球上のエネルギーは非処女の発するエネルギーと処女の発するエネルギーがバランスを取って保たれている。
しかし、昨今このエネルギーの均衡が崩れようとしているのだ。あまりにも非処女が増え、処女が少なくなってしまっているのだ。
あの化け物はそういう危ういバランスを壊してしまおうという組織から送られてきた、遺伝子組み換えで誕生した化け物だ。
地球のために、お前は処女であり続けなければいけないんだ!わかったか!」
「そ、『その歳』・・・」
私はわなわなと震えて、渾身の力で握りこぶしを処女厨の顔面に叩き込んだ。
処女厨は5mの距離をきりもみしながら飛んで行き、まるでジャイロボールのようにぐんぐんスピードを上げて、黒い化け物に激突した。
処女厨の頭がちょうど黒い化け物の眉間にヒットし、黒い化け物はどおっとその場に倒れて死んでしまった。
処女厨は平然と立ち上がった。
さすが処女厨、頭の固さは半端ない。
「よし、危機は去ったようだ。む、他の処女からの救援信号だ。名残は尽きぬがこれまでだ。また会おう!処女よ!!」
私は明日、勇気を出して処女を捨てる事を胸に誓い、処女厨の姿を見送った。
さよなら処女厨!
もう二度と来ないで、処女厨!!
makaronisan ネタ いっそ処女厨が戦う小説とか読みたいです。なんかと。 2008/12/18
http://b.hatena.ne.jp/makaronisan/20081218#bookmark-11311538
書きました。