2022-09-21

俺の頭の中で浮浪者どもがゲラゲラ笑っている

通り過ぎる俺は横目でそいつらを眺める。俺のことを笑ってるわけじゃない。アイツラは俺の方なんて見ていない。だから大丈夫だ。

逆立ちした犬と緑色シャツを着た飼い主とすれ違う。犬に服を着せるなんて傲慢も良いところだ。お前だってそう思うだろ。

犬がワンと叫ぶ。犬は喋らない。犬の顔を通して俺の頭の中の俺が頭の中の俺に話しかける。



お前こんな所で何してるんだ?



俺はどこにも居ない。どこにも行けない。世界は平らで、俺が収まるべきくぼみはどこにも無かった。

いつしか犬も緑色シャツ浮浪者も消えていなくなっていた。

夕暮れが俺と誰もいない世界を包む。

孤独な夕暮れが俺が収まるべきくぼみだった。世界に俺のためのくぼみが無かったから、俺が俺のために用意した、保証されていない独りよがりのくぼみだった。

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