2021-03-20

人じゃなくてよかった

とある小説を読んだ。

いわゆる純文学に分類される小説だ。

気まぐれに図書館で借りてきて読んだ。

なんてことだ!

こんなに美しい文章がこの世の中に存在しているなんて、頭がおかしくなりそうだ。

一文一文が美しすぎる。

読み終わって、図書館ですぐに同じ作家の本を借りた。それも読み終わったのでまた借りた。そのあともまた。

どの文も、話も、美しくて、読んでいて胸が高鳴る。

本を読みながら、もう一度この文章を読みたいと思って、意図的に同じ箇所を繰り返し繰り返し読んだのははじめてだ。

文末の「。」を見て、文章が終わってしまたことに寂しくなったのもはじめてだ。

まりに夢中になった何文かはノートに書き写した。

寝る前にノートを開いて読み返すと、何度でも新鮮にときめいた。

この文章が人のかたちをもっていたらどんな見た目をしているだろうかと想像した。

きっと、ひと目で恋してしまう気がする。

心惹かれるあまり、たぶん声はかけられなくて、ずっとずっと目で追い続けてしまう気がする。

人じゃなくてよかった。

文でよかった。

すきなだけ見ていられるから

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