2020-06-14

タイツに於ける、特有の陰翳が施す美的意匠に関する考察

タイツの魅力は〈隠す〉こと、〈深み〉を与えること、〈整える〉ことに由来する。即ち、脚部を隠すことで、秘匿されるべき魅惑の“生脚”の存在偽装するとともに、ちょうど薄雲が満月を翳らす時のように、脚部に可視的な〈深み〉を与える。黒タイツは、飽くまで脚部を〈隠す〉ことに徹しながら、“生脚”の存在を仄かし、その可視的表面を覆い隠しながらも、むしろ視線を誘い込み、幻惑させる。そして無機・金属質をも思わせる、てかてかしたナイロン生地が脚部の可視性を〈整える〉(又は均質化する)ことで、化粧を施したように、或いは大理石彫像のような、神々しい光沢を帯びる。然るに黒タイツに包まれた脚はあくまで閑雅な面持ちでありながら、その内に涼しく流し目する妖艶な光を宿すのである

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