安いとこだったんで隣の建物との距離が近く、窓を開けると隣の同じようなアパートの玄関が丸見えになってた。
ある初夏の日に窓開けてカーテンだけ閉じてたら、向かいのアパートから声が聞こえてきた。
見るとその部屋の住人ともう一人いて、「俺、部屋きたねえからなー」なんて感じのことを言ってる。
少し気になってカーテンの隙間から覗いてると、入口のところで連れてきた相手を待たせてさっさと一人中に入った。
ああきっと初めて急に部屋に来ることになったから入口で待たせて隠したいものを隠してるんだろうなーと思って少し観察してたら、入口で待たされた方の人が少し手持無沙汰っぽく足をぶらつかせたり、近くの柱に寄りかかったりしてなんとも所在なさげにしてた。
しばらくするとうつむいて寄りかかったままじっとしてて、なんていうかああ青春だなーって思った。
で、数分して中の住人がどうぞって扉をあけたら「おじゃまします」って言って入っていったのね。
そのあとどうなったんだろうなって少し幸せな気分にさせてもらえたって話。